占術・その(六)仏滅暦(ぶつめつこよみ)

ついでだから、暦についても書こう。

本書の冒頭でも記述したが、何事にも始まりはある。

だが、宗教関係者や占術師には「昔から決まっている」と非常にインテリジェンスが無い強情を張る者が多い。

つまり決まり事には必ず「何時頃から何故に」が存在し、それを突き詰めて行かないと本当の歴史は見えて来ない。

しかしそこを突き詰められると全てが「御仕舞い」になってしまう決まり事も多いから、「昔から決まっている」と強情を張る以外に無いのが宗教や占術なのである。

ここは重要なのだが、暦は・神道のもので本来は仏教には関係なく、中国の暦には「仏滅」は無い。

つまり、日本の暦は「宗教がごっちゃ混ぜ」なのである。

従って例え隣国でも日本人以外の東洋人相手には「仏滅」は通じない。

それで、不思議に思って今の日本の暦の事を調べると、暦その物の原点は確かに中国にあった。

古来の占術暦は「太陰暦(旧暦)」から来ている。

近頃、映画「陰陽師シリーズ」や「風水ブーム」で、忘れかけた太陰暦(旧暦)も少しは復活の兆(きざ)しがある。

だが、「仏滅」や「友引」は陰陽師にも風水にも関係が無い。

それでは、「仏滅」や「友引」が日本の暦に登場したのは、何時(いつ)の頃なのか・・・・・。

それは明治時代の初期の頃だった。

日本の近代化を急ぐ明治政府は、暦も欧米式の「太陽暦」に無理やり変え様とし、旧来使っていた「太陰暦(旧暦)」の使用を禁止にした。

時は、文明開化の世であり、新政府は何が何でも西洋式にする事で欧米に近付こうとした。

勿論、通商行為などの為の日付の共通性も必要であったし、国力を向上させ植民地化を避け不平等条約を改正させる為だった。

しかし、長い間「太陰暦(旧暦)」に慣れ親しんだ庶民にしてみれば、急に暦と季節感が違い、土地の氏神様の祭り事にも支障を感じる。

故にそれを受け入れる事に抵抗して、密かに密造された旧暦(太陰暦)の暦を流通させていた。

彼らにとって、当時は太陰暦(旧暦)が「普通」なのである。

明治十二~三年頃その暦の密造ブームは頂天に達し、暦屋にとって結構な儲け商売になった。今でも、旧暦の「何々に当たる」と言った話は時折聞く。

味を占めた儲け主義の暦屋が、政府が進める新暦(太陽暦)化に旧暦の「何々に当たる」と言った事を紛れ込ませて売れ行きを伸ばし、ついでにより売れる様に易学とやらに「仏滅」や「友引」などを「勝手に創りだし」て印刷し、いっそう暦に重みを付けたのだが、庶民はそれに見事に嵌まった。

人間は国籍を問わず、結構そうした「縁起かつぎ」みたいなものが本質的に好きだ。

それに暦屋が勝手に創っても、日本には占術的な物をすんなり受け入れられる信仰土壌が、しっかりと出来きていた。

急速に欧米化を強いる政府への反抗心も手伝って、返って庶民の間に暦占い人気が出てしまったのだ。

そこで、迷信じみた日本式「普通」が生まれた。

暦屋が勝手に創り出した「仏滅」でも、数十年も時を経るとそれが庶民には「普通」になる。

そして、その暦を頼りに生活のリズムを刻んで疑わない。

「それが、時として事を進める妨げになろうとも」である。

もっとも世の中には、「信じたがる人間」や「支配されたがる人間」も居るから、まんざえら信じさせる人間や支配する人間ばかりが悪いとは限らない事も事実である。

この物語、第一巻の第一章から読み進めた方にはもうお判りだが、そもそも信仰や占術が始まったのは群れのリーダーが「人々の脅迫観念」を自らの権威付けに利用した事から始まっている。

故に信仰には、科学的根拠は一切存在しない。

従って神仏や占術に過大な期待をするのは根本的に間違いで、つまり信仰は「心の安定を得られる為のもの」であって、欲の深い者に都合の良い幸運の奇跡など起こらないのである。

確かに、自分の力の及ばない物に翻弄(ほんろう)されるのが人生だから、神仏や占術に頼りたくなる心情は理解できる。

しかし残酷な事に、「信仰をしたから」と言って貴方に都合の良い奇跡など起こらないし、祈祷料や賽銭を供えた位で貴方に都合の良い奇跡など、「どんなに信仰をしようと起きない」と知るべきである。

但し、人間の生き行く在り方などの「教え」としては学ぶべきものが多いのが信仰であるから、神仏に過大な期待をするのでは無く教えを請う存在と位置付ければ良いのである。

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by mmcjiyodan | 2009-04-01 00:58 | Comments(0)  

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