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夫婦別姓(ふうふべっせい)

近頃婚姻による女性側の改姓を「差別ではないか」と、男女平等の意識から「夫婦別姓」を採る夫婦の考え方が一部で始まっている。

この夫婦別姓は別に目新しい物ではなく、我が国では明治維新まで続いていた事で、お隣の中国や韓国では昔から現在まで当たり前に続いている事である。

徳川二代将軍・秀忠(ひでただ)の正室として世継ぎの三代将軍・家光(いえみつ)を生んだ浅井三姉妹(あざいさんしまい)の三女・浅井江(あざいごう/崇源院・すうげんいん)は、その前に二度結婚していて秀忠の下へは三度目の嫁入りである。

明治維新後の西欧化でロックインして今では夫婦同姓が当たり前に成っているが、東洋の国々は元々夫婦別姓が基本だったから、当時の夫婦は別姓で、生まれた家の姓が正式な名乗だから何度再婚しても浅井江(あざいごう)である。

まぁ正室だけでなく側室も持つ時代だったから、結婚についても夫婦同姓にする事は余分な手間だったのかも知れない。

昔の氏族社会では源頼朝北条正子の夫婦のように夫婦別姓で、織田信長の正妻・帰蝶(きちょう/濃姫)の場合も斉藤道三の娘・斉藤帰蝶(さいとうきちょう)が正しく、豊臣秀吉の晩年の妾・淀殿(淀君)の本姓名は浅井茶々(あざいちゃちゃ)が正しい名乗りである。

この庶民には姓が無い時代の氏族社会の夫婦別姓は、明治維新後の千八百七十二年(明治五年)に編製された壬申戸籍 (じんしんこせき)が発効されるまで続いていた。

つまり今は当然に思える夫婦同姓は、明治維新後の高々百三十年ほどの歴史しかないのだ。

まぁ厳密に言うと、この夫婦別姓も江戸末期まで氏族系として生き残って来た公家や武士など全体の八パーセントほどである。

授ける立場である天皇には名乗る姓(かばね)は無かったし、平民には名乗る姓(かばね)も無かったから、正確には夫婦別姓社会とも言い切れない。

存在を「只存在」と記憶する学問には限界が有り、何故それが存在するのか疑問を持たなければ真実は見えて来ない。

現在では、民法七百五十条に婚姻に拠る入籍に拠り夫婦同姓が規定されている。

しかし夫婦同姓の規定は、千八百七十一年(明治四年)明治新政府発布の戸籍法・通称「壬申戸籍 (じんしんこせき)」に拠って明治維新政府が国民皆兵政策の一環として言わば総氏族化(総武士道精神化)を図った際の知恵である。

夫婦別姓論に異議を唱え、「普通は夫の姓に改姓するものだ」と主張される方は、二千年の歴史に於いて僅か百三十年程の期間の規定を然したる歴史見識も無く、アンカリング効果と一貫性行動理論に影響されて「普通」と主張している事になる。

つまりは「常識の履き違い」である。

時代が創った常識は、次の時代では不要に成るのが当たり前で、明治維新の主役と成った者に誰一人常識に囚われた者は居なかった。

常識的に生きれば楽な人生を送れるかも知れないが、アンカリング効果的な常識に囚われた発想からは何も生まれず、型破りな発想からこそ未来が開ける。

選択的夫婦別姓の法制化提起に関して、夫婦別姓が家庭崩壊を招くがごとく主張するが、近隣の中国(中華人民共和国)、台湾(中華民国)、北朝鮮(朝鮮人民共和国)、大韓民国などいずれも夫婦別姓だが家庭崩壊などしていない。

むしろ日本国内に於ける家庭崩壊は、氏姓の問題を別にして行き過ぎた個人主義思想に於ける社会構造的要因で、歯止め無く進んでいる。

時代が創った常識は次の時代では不要に成るのが当たり前で、もっともらしい今日的常識を振りかざす者に、大物など居ない。

この問題は広域倭の国論卑弥呼の墓(ひみこのはか)と同じで、「昔からそうだった」の基点が時系列的にあやふやな所が問題なのである。

夫婦同姓(ふうふどうせい)は日本の固有文化と言うけれど固有文化と思われているのは先入観だけで、西洋的文明開化の迎合産物に過ぎない。

夫婦別姓(ふうふべっせい)に反対する者は、日本人に典型的な「形から入ろうとする建前主義者」で、根底に在るのは根拠が無い「べき論」で在るから、そう言う意味で言えば確かに日本独自の悪しき文化かも知れない。

そして我が国の氏族社会に於ける「夫婦別姓時代」の女性には婚家拠りも実家を大切にした傾向も在るが、現在の男女平等の価値観とは別の夫婦間のルールが在って、どの時代が女性にとって幸せなのかの比較は出来ないのである。

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皇統と鵺の影人

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by mmcjiyodan | 2009-04-12 03:36  

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