松平頼重(まつだいらよりしげ)・生い立ちの謎

正式記録では、松平頼重(まつだいらよりしげ)はご存知二代水戸徳川家藩主・水戸黄門(徳川光圀)の同母兄で、初代水戸徳川家藩主・徳川頼房(徳川家康十一男)の「長男」と言う事に成っている。

あくまでも水戸家家臣・三木之次の孫・三木之幹が主に成って千七百一年(元禄十四年)に編纂された「桃源遺事」を信じればであるが、頼重(よりしげ)の母は、家臣・谷重則の娘・久子である。

頼重(よりしげ)出生の経緯は大藩の当主の長子としては妙にややこしい。

松平頼重(まつだいらよりしげ)は水戸城下柵町(茨城県水戸市宮町)の家臣・三木之次(仁兵衛)屋敷で生まれた事に成っている。

母の久子は奥付きの老女の娘で頼房の寵を得て懐妊するが、頼重(よりしげ)出生の時点でまだ正室を持ってはいなかった徳川頼房が側室であるお勝(円理院、佐々木氏の娘)の機嫌を損ねた為に頼房は三木之次夫妻に対して久子の堕胎を命じたが、奥付老女として仕えていた三木之次の妻・武佐が頼房の准母であるお梶の方(お勝、英勝院)と相談し、「主命に背いて密かに自邸で出産させた」としている。

同母弟の二代水戸徳川家藩主・水戸黄門(徳川光圀)についても同様の経緯があり、長男・松平頼重(まつだいらよりしげ)と三男・徳川光圀(とくがわみつくに)は幼少期の数年をそれぞれ三木竹丸(頼重)、三木長丸(光圀)を名乗って水戸城下で隠し育てられた事に成っている。

ここからがこの水戸家の物語のいかにも筋書きがあるような奇妙な点でもあるのだが、主命に背いて密かに出産させた頼重(よりしげ)と光圀(みつくに)の存在が明らかに成ると、すぐさま水戸城に入城を許し、翌年には頼房の付家老・中山信吉(備前守)が水戸へ下向して世子を光圀(みつくに)と決定、光圀は江戸小石川藩邸に入り世子教育を受け始めている。

世子内定の翌年になると光圀(みつくに)は英勝院に伴われて江戸城で三代将軍・徳川家光に拝謁、二年後の千六百三十六年(寛永十三年)には元服し、この時に将軍・家光から与えられた偏諱が「光圀(みつくに)」である。

長子の頼重(よりしげ)が水戸藩を継承する事が出来なかった理由は何故だろうか?

思い当たるのが、頼重(よりしげ)の「重(しげ)」の文字である。

「重(しげ)」の文字は、代々雑賀鈴木家が用いて来た文字で、源義経の郎党・鈴木重家(すずきしげいえ)や戦国期~安土桃山期に活躍した雑賀党・鈴木重意(しげおき/雑賀孫市)、そして徳川家康の庶長子と噂が高い鈴木一蔵重康(すずきいちぞうしげやす)も「重(しげ)」の文字を用いている。

そこで憶測される事だが、頼重(よりしげ)が家康の隠し庶長子である鈴木重康(すずきしげやす)の継子であり、光圀(みつくに)の頼房世子認定のドサクサに紛れて頼房の子として水戸城に入城させ、その後に「一族として処遇する道を作ったのではないか」と言う疑惑である。

徳川家康にして見れば、若気の至りで為(な)した為に報いて遣れなかった庶子・鈴木(一蔵)重康への愛情であり、つまりこの「松平頼重(まつだいらよりしげ)生い立ちの謎」とされる壮大なペテン(中国語/人を騙す)は、家康の想いを叶える為の徳川家の総力を挙げた知恵の結果ではないのだろうか?

何しろ、それを疑わせるほど水戸徳川家は雑賀鈴木家と縁があるのだ。

松平頼重(まつだいらよりしげ)は、常陸下館五万石を経て四国の要地である讃岐高松で十二万石を与えられ高松藩々主となる処遇を受けている。

その後ややこしい事に、何故か頼重(よりしげ)実子の徳川綱方と徳川綱條が光圀の養子となり御三家水戸藩の家督を綱條が継ぎ、また高松藩の家督を光圀(みつくに)の実子・松平頼常を養子に迎えて継がせる養子交換をしている。

この養子交換を、光圀(みつくに)が「長子の頼重(よりしげ)を差し置いて家督を継いだ後悔からだ」と言うが、他に隠された理由が在ったのでは無いだろうか?

もし松平頼重(まつだいらよりしげ)が本当に初代水戸徳川家藩主・徳川頼房(徳川家康十一男)の「長男」ならば、松平頼重(まつだいらよりしげ)が水戸徳川家を継がず、常陸下館五万石を経て四国の要地である讃岐高松で十二万石を与えられ高松藩々主となる処遇を受けている謎は説明が着かないのだ。

小論・【「水戸黄門漫遊記」のヒントと成った史実・水戸徳川家異聞】を参照下さい。

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by mmcjiyodan | 2009-05-09 13:47 | Comments(0)  

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