坂本龍馬(さかもとりょうま)の近江屋暗殺事件

世に言う近江屋事件(おうみやじけん)は、幕末・慶応三年の末に海援隊隊長・坂本龍馬(さかもとりょうま)と陸援隊隊長・中岡慎太郎が京都河原町近江屋井口新助邸に於いて暗殺された事件の事を言い、京都見廻組の仕業であるとされる。

しかしこの説は大いに疑う所これ在り、この時点で類稀なネゴシェーター・坂本龍馬(さかもとりょうま)の死を本当に望んでいたのは幕府方とは思えない。

国外事情に詳しい龍馬が内戦の混乱に乗じて欧米列強国が介入して来るを恐れ、徳川慶喜を新政府に参加させる事に拠り徳川家の懐柔と温存を自説として西郷隆盛達急進派と意見対立していたからである。

慶応三年十一月三日、龍馬はそれまで宿舎としていた寺田屋が幕府方に目をつけられたので、近江屋に移った。

十日後、伊東甲子太郎(元新選組参謀、後に御陵衛士)が尋ねて来て、「お主は新選組に狙われているので三条の土佐藩邸に移ったらどうか」と勧めたが龍馬は近江屋に留まった。

伊東訪問の二日後の夕刻に盟友の中岡慎太郎が近江屋を訪れ、当時京都の治安維持を行っていた新選組が三条大橋西詰の制札を引き抜こうとした土佐藩士八名を襲撃、捕縛した「三条制札事件」について話し合う。

夜に成り、十津川郷士を名乗って龍馬に会いたいと願い出る客が近江屋を訪れ、応対した元力士の山田藤吉は客を龍馬に会わせようと二階に案内するが、背後から行き成り切りつけられ重傷を負って倒れる。

藤吉は切りつけられて「ぎゃあ!!」と大声を上げ、その声を聞いた龍馬は咄嗟に「ほたえな!」と土佐弁で「騒ぐな」の意で声を挙げた為にその刺客に自分達の居場所を教えてしまう。

土佐弁を聞き付けた刺客は階段を駆け上がり、ふすまを開けて部屋に侵入し龍馬と中岡に切りかかる。

不意打ちを食らった龍馬は初太刀で切られ、意識が朦朧(もうろう)とする中、中岡の正体がばれないように中岡の事を庇い「石川、太刀はないか」と変名で呼んだと伝えられる。

定説はそんなものだが、近年新たに発見された資料として土佐藩の下級役人で徒目付(かちめつけ)・樋口真吉が当時在京していて龍馬暗殺の詳細を日記に付けていた。

樋口家の元々の格式は組外だったが、樋口真吉は千人を越える弟子を抱える私熟を経営して志士らの代表格のような存在だった。

才能を評価され嘉永年間に徒士格となり、藩主・山内豊範の参勤交代に徒士目付として随行するなどして下役ながら土佐藩々士として活躍していた。

樋口真吉は龍馬よりも二十歳も年上だが、剣豪としても知られた真吉は龍馬が十六歳の少年期から可愛がっていたと故郷土佐で伝えられている人物で、龍馬暗殺の時には京都で情勢の内定活動をしていた為、その日記には信憑性が在る。

樋口日記に拠ると、京都の近江屋に於いて、龍馬は「才谷梅太郎」、中岡新太郎は「横山勘蔵」の変名を使っていた。

刺客は三人で、襲われた時に龍馬は刀を手にする間も無く一太刀浴びせられ、中岡は隣の部屋に太刀を於いて来た為、小太刀で応戦するも、切り伏せられている。

それにしても奇妙な事に、近江屋とは河原町通りを隔てた真向かい(数メートル)に在った土佐藩邸からは、龍馬の身を寄せる近江屋で騒動在るも暗殺当夜に何の救援の手も差し伸べられなかった。

この襲撃で龍馬は、胸など数カ所を斬られ終(つい)に絶命するも中岡はまだ生きており助けを求めるが、二日後に吐き気を催した後に死亡した。

龍馬暗殺は新選組の原田左之助や大石鍬次郎らの仕業とされたが、この事件に関しては不可解な事が多く、現在では新選組犯行説を支持する研究者はほとんど居ない。

徳川幕府最後の将軍・徳川慶喜(第十五代)の処遇をめぐっては、西郷と龍馬では意見の相違が在った事は明らかになっていて、武力倒幕派に拠る大政奉還派の龍馬暗殺説は、佐々木多門の書状や近江屋の女中達の証言などの資料をもとにしている。

大政奉還以降、龍馬は確かに幕府に対する態度を軟化させ、徳川慶喜を含めた諸侯会議による新政府の設立に傾いていた。

確証は無いが、武力倒幕を目指していた西郷隆盛、大久保利通らが、こうした龍馬の動きを看過できなくなり、故意に幕府方に「龍馬の所在を漏らした」とする説もある。

坂本龍馬暗殺の真相】に続く。

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by mmcjiyodan | 2009-12-27 16:56 | Comments(0)  

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