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新撰組(しんせんぐみ)

新撰組(しんせんぐみ)は、屯所の在った壬生の地を取って名付けた壬生浪士組(みぶろうしぐみ)約六十名を持って組織した幕末、会津藩主で京都守護職の松平容保の支配下に在った京都の治安部隊で、新撰組(しんせんぐみ)は後の名称である。

当初、新撰組の母体となる浪士組結成を呼びかけて江戸で人数を募ったのは庄内藩士・清河八郎で在った。

元々は将軍・徳川家茂が京都へ上洛するにあたって不穏な空気の漂う京都を警備する目的で幕府が資金を出して集まった浪士の一団で在ったが、清河には元々尊王攘夷の思惑があり江戸から京都へ赴くに至って尊攘思想をいきなりぶち上げ幕府を裏切った。

この清河八郎の組織結成の趣旨を勝手に翻した暴走に拠って幕府から見放され、一時浪士組(新撰組)は解散の危機に立たされる。

当の清河八郎は江戸に戻され幕吏に拠って斬られたが、芹沢鴨、近藤勇土方歳三、沖田総師、永倉新八など一部の浪士達十三名はそのまま京都に留まり、浪士組(新撰組)のスポンサー探しに奔走する。

その後、壬生村の郷士・八木源之丞の家を拠点として浪士達十三名は居候を始め、見廻組の佐々木唯三郎の取り成しを得て京都守護職・松平容保(まつだいらかたもり)充てに召抱えの嘆願書を出した。

浪士組(新撰組)は松平容保の預かり浪士隊として採用され、八木源之丞の家を屯所と定めて洛中(京都市中)の見廻りを開始するが、浪士組は壬生浪と呼ばれ、始めは乱暴者として世間から不評を買っていた。

この不評の主因は、清河八郎の粛清の後に近藤勇と伴に浪士組のトップに成った芹沢鴨グループに拠るもので、新選組結成前から近藤ら浪士達とのいざこざが耐えなかった問題児で在った。

その後、京都守護職・松平容保の預かりとなった新選組が組織立って来るに至って、芹沢は障害として暗殺されている。

壬生浪士組(みぶろうしぐみ)の多くの出身者は正規の侍ではなく、侍に憧れて時代に遅れて来た武士道主義者であった事から佐幕派として時代の流れに逆らった集団だった。

新撰組隊士は正規の侍になる事を宿願として居り、目的達成の為に侍に匹敵する活躍をし夢破れて儚(はかな)く散った為に特に現代の若者達から幕末日本を象徴する存在とみなされ根強い人気を誇るが、その実態には疑問が残る所もある。

佐幕派の人斬り集団と見られ勝ちだが煩雑に人を斬りまくる暗殺集団で在った訳では無く、本来は不穏不逞浪士を捕縛する事が目的で、最初から斬殺を目的としては居なかった一方で局長の近藤勇らは新撰組内部で凄惨な権力闘争を行い、局内敵対勢力を容赦なく殺害して隊の実権を掌握した。

同時に隊の規律維持の為に厳しい局中法度を定め違反者に対し粛清を行った事や、「誠」の一字の隊旗や袖口に山形の模様を染め抜いた独特の羽織でも知られ、京都の治安部隊としては町人や百姓身分を含む非正規部隊で在った為に、侍に憧れる余り「内規に反した等」として粛清された者は相当数に上るとされる。

一説には勤皇志士との斬り合いで死亡した者より「粛清で落命した者の方が多い」とも言われ、思想こそ違うがさながら戦後の左翼運動の中で行われた連合赤軍の内部粛清と行き着く感性が酷似している。

新撰組は主として京都に置いて、体制側として「テロ集団」の弾圧に当り反幕府勢力弾圧・警察活動に従事した後、十五代将軍・徳川慶喜大政奉還後、近藤勇や土方歳三ら幹部は幕臣と成って夫々に鳥羽伏見の戦いなどの戊辰戦争に旧幕府軍の一員として戦った軍事組織である。

新撰組の表記に関しては新選組と表記された資料も多く、局長の近藤勇自身も「撰」・「選」の両方の字を用いている所から表記する場合はいずれも正解となる。

実は、藩主と言っても上級武士と言っても、先祖の功績が三百五十年に渡って身分の固定を招いた血統体制である。

一方は二千年来の血統体制の枠内で這い上がろうともがき、一方はその血統体制を打ち破ろうととした違いはあるが、京都見廻り組や新撰組として幕藩体制(公武合体)側に立ち勤皇攘夷派と対峙した近藤勇や土方歳三達も、勤皇攘夷から倒幕に向かった吉田松陰西郷隆盛大久保利通武市瑞山坂本龍馬桂小五郎(木戸孝允)高杉晋作久坂玄瑞伊藤俊輔(博文)井上馨(いのうえかおる/井上聞多)山県有朋、吉田稔麿、前原一誠、そして岡田以蔵にしても田中新兵衛にしても身分はそのままでは浮かび上がれない見為武士(みなしぶし)か下士(下級武士)で在った。

池田屋事件(いけだやじけん)】に続く。

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by mmcjiyodan | 2010-01-15 19:01  

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