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閏刑(じゅんけい)としての奴刑(しゃつけい)・(二)

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只し、こうした身分刑は日本だけの存在ではない。

例えば、隣の国・旧李氏朝鮮王国でも罪を犯した者の刑には、身分刑として良民(ヤンミン)から奴婢身分(ぬひみぶん)に落とす刑罰が存在した。

奴婢身分に落されると、国が所有する公奴婢(くぬひ)や個人が所有する私奴婢(しぬひ)となり、人格は認められない。

女性の場合は、公奴婢(くぬひ)の遊技・妓生(キーセン)や私奴婢(しぬひ)は抱え主の両班(ヤンバン)の愛玩、また宮廷の医女(イニョ)も身分は公奴婢(くぬひ)であり、王侯貴族のヘルス嬢的な慰め者だった。

朝鮮王朝(チョソンワンジョ)の身分制度は、上から王族、両班(ヤンバン・特権貴族階級身分)、中人(チュンイン・科挙に合格した役人身分)、良民(ヤンミン・常民と呼ぶ普通の身分)、最下級は奴婢(ヌヒ・奴隷身分)で、日本の制度と若干の共通性がある。

日本では、吉原以外の闇娼婦が摘発されれば、吉原へ三年間無償奉公させるのもこの奴刑(しゃつけい)の一種である。

何もこの奴刑(しゃつけい)、実は満更日本の昔話とばかり言い切れない。

身分刑とは若干異なるが、台湾(中華民国)にも奴刑(しゃつけい)と似たような事例がある。

台湾(中華民国)は現在でも大陸(中華人民共和国)と国交緊張関係にあり、皆兵政策で徴兵制度が布かれている。

未だ軍票が在る国で、若い連中が徴兵され娯楽も無い金門島を始め馬祖島・澎湖島・蘭嶼島など離島防衛への将兵派遣で困難が生じた。

離島に派遣されると何の楽しみも無く、若者は離島派遣を嫌がって敬遠するし、対大陸防衛で財政負担が多いのに女囚が増えて財政を圧迫していた。

そこで必要に迫られて考え出したのが、女囚の判決刑期減刑(短縮)と引き換えに離島防衛将兵の性的慰安(慰問刑)を務めさせる事である。

この従軍慰安婦もどき、勿論奴隷制度では無く、台湾(中華民国)では臨時措置的なれっきとした国法根拠があり、この交換減刑(短縮)は本人の希望に拠るもので強制では無いが、犯罪行為に対するお仕置き的な意味合いがあるのは当然である。

台湾は売春を禁止されている国だが、徴兵々士の離島赴任慰安欲求と、懲役には違いないが女囚の「お仕置き懲役」を組み合わせた現実的な刑の執行方法は例外刑(慰問刑)として認められて居るのだ。

国情が違えば国策の対応が変わるの当たり前で、この話しは台湾(中華民国)離島派遣経験がある若者多数から直接聞いた話だから事実である。

現在の日本でこの制度を「合理的だ」と評価すれば「人権だ何だ」と袋叩きだろうが、考えて見ればそんな良い悪いの判断はいったい何時(いつ)誰がどう言う価値基準で決めたのだろうか。

現にそれを承知で、女囚の交換減刑(短縮)希望者は後を絶たないのである。

日本国内では、渡来氏族が反抗的な蝦夷族を制圧して母国に倣った奴婢制度(ぬひせいど)について、「早い時期に消滅した」と言う説がある。

しかし渡来氏族系と被支配階層の旧蝦夷系の身分差別が変遷しながら明治維新の版籍奉還(はんせきほうかん)まで続いていた。

版籍奉還(はんせきほうかん)とは、千八百六十九年(明治二年)に諸大名から天皇への領地(版図)と領民(戸籍)の返還を意味し、つまり奴婢制度の前提は支配階級の所有権で、制度上領民は領主の持ち物だった。

奴刑(しゃつけい)の名称と奴婢(ぬひ)についての関連性も無視し、ある時期から奴婢(ぬひ)の名称が使われなくなった事だけを根拠にするのは如何なものだろう?

第一、科学でも歴史でも定説は常に翻されて学問は進むものだから、自分の思考でもない定説をひけらかして証拠のごとき主張は浅学と言える。

遊女関連の詳しくは、小論【遊女(女郎)の歴史】に飛ぶ。

女衒(ぜげん)】に続く。
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by mmcjiyodan | 2010-08-05 00:11  

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