東郷平八郎(とうごうへいはちろう)その(一)

陸軍の乃木希典(のぎまれすけ)と並び称される日露戦争の英雄、海軍の東郷平八郎(とうごうへいはちろう)は、希典(まれすけ)よりは一歳年上である。

千八百四十八年(弘化四年)の年押し迫る年末(旧暦では正月の末)頃、薩摩国鹿児島城下の加冶屋町二本松馬場(下加治屋町方限、現鹿児島県立鹿児島中央高校化学講義室付近)に、薩摩藩士・東郷実友(とうごうさねとも)と堀与三左衛門の三女・益子の四男として生まれる。

東郷氏の本姓は桓武平氏良文秩父氏流渋谷氏で、平八郎(へいはちろう)の幼名は仲五郎、十四歳の時元服して平八郎実良と名乗る。

渋谷氏は桓武平氏・良文秩父氏流の一族で、秩父重綱の弟・基家が武蔵国橘樹郡河崎に住んで河崎冠者と称し、その河崎冠者相模国高座郡渋谷庄を与えられ、その孫・重国の代に渋谷庄の司を称したのに始まる。

ここが歴史の面白い所であるが、日露戦争の二大英雄とされた乃木希(のぎまれすけ)の先祖・佐々木氏と東郷平八郎の先祖・良文秩父氏流渋谷氏に歴史的な接点がある。

渋谷重国は、平治の乱源義朝方に味方して所領を没収された近江源氏・佐々木秀義が、奥州めざして落ちのびて来たのを引き止めて自分の手元に置き二十年に渡って保護している。

渋谷氏が二十年間に渡って保護した佐々木秀義の息子達・佐々木太郎定綱・次郎経高・三郎盛綱・四郎高綱らは、青年武士に成長し源頼朝の旗揚げに最初から馳せ参じて各地に転戦、功を挙げた。

渋谷重国は、初戦の石橋山の合戦に於いては頼朝征伐軍中に在ったが後に頼朝に服属している。

鎌倉幕府成立後、幕府御家人となった渋谷氏は、重国の二男・高重が和田合戦で義盛方について戦死したが、長男・光重は渋谷上庄、美作河合郷などを相伝した。

もう渋谷の名でお気付きの方も居られると思うが、一族の内で武蔵に移住した渋谷氏の住地が、今日の東京の繁華街の一つ渋谷の発祥をなしている。

重国長男・光重が宝治元年の合戦(北条氏三浦氏を破った)の恩賞として、北薩摩の祁答院・東郷・鶴田・入来院・高城の地頭職を得て、光重長男・重直を本領の相模国にとどめ、地頭として他の兄弟をそれぞれの地に下向させる。

この北薩摩に下向させ渋谷光重の息子達が、赴任先の地名を名字として守護職・島津氏につぐ薩摩の雄力豪族となり、戦国時代に至るまで渋谷五家(祁答院家・東郷家・鶴田家・入来院家・高城家)としての活動が確認できる。

なかでも国衆として成長した入来院氏は、清色城を本拠として渋谷五家一族では最有力な存在であった。

渋谷一族は、寺尾・岡本・河内・山口などの諸氏家も分出し、守護職・島津氏に対して勢力を保ち、南北朝内乱以降も向背し続けるも、永禄十二年に薩摩・大隅国衆はほぼ平定される。

入来院重嗣は東郷重尚らと領地を島津義久(第十六代当主)に差し出して降った。

その後の渋谷一族は島津氏の国衆政策の一貫として徐々に所領を取り上げられ、知行を与えられる藩士として出仕する事に成り、東郷平八郎の東郷氏もそんな家だった。

千八百六十七年(慶応三年)六月、平八郎(へいはちろう)十九歳の時に分家して一家を興す。

平八郎(へいはちろう)は薩摩藩士として薩英戦争に従軍し、その後薩摩藩・小松帯刀大久保利通西郷隆盛が長州藩・桂小五郎(かつらこごろう/木戸孝允)薩長同盟が結ばれて倒幕・薩摩軍に加わっている。

戊辰戦争では、平八郎(へいはちろう)は官軍の海軍将校として新潟・函館に転戦して阿波沖海戦や箱館戦争、宮古湾海戦で戦い、新政府の海軍士官として経歴を積んだ。

東郷平八郎(とうごうへいはちろう)その(二)】に続く。

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by mmcjiyodan | 2010-10-07 00:07 | Comments(0)  

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