日露戦争(にちろせんそう)その(一)・海外権益

日露戦争(にちろせんそう)は、大日本帝国とロシア帝国が朝鮮半島と満洲南部を主戦場として発生した戦争で、言わば両国の満洲及び朝鮮に於ける自国権益の維持・拡大を目的とした戦争である。

ロシア帝国は、不凍港を求めて南下政策を採用し、露土戦争などの勝利に拠ってバルカン半島に於ける大きな地歩を獲得した。

しかしロシアの影響力の増大を警戒するドイツ帝国の宰相ビスマルクは列強の代表を集めてベルリン会議を主催する。

ビスマルクはベルリン会議で露土戦争の講和条約であるサン・ステファノ条約の破棄とベルリン条約の締結に成功し、ロシアはバルカン半島での南下政策を断念し、進出の矛先を極東地域に向ける事になった。

近代国家の建設を急ぐ日本では、ロシアに対する安全保障上朝鮮半島を自国の勢力下に置く必要があるとの意見が大勢を占めていた。

朝鮮を属国としていた清との日清戦争に勝利し、朝鮮半島への影響力を排除したものの、中国への進出を目論むロシア、フランス、ドイツからの三国干渉に拠って、下関条約で割譲を受けた遼東半島は清に返還された。

日本の国内世論に於いては「ロシアとの戦争も辞さず」と言う強硬な意見も出たが、当時の日本には列強諸国と戦えるだけの力は無く、政府内では伊藤博文ら戦争回避派が主流を占めた。

日本の立場とすれば、日清戦争後に下関条約で日本への割譲が決定された遼東半島を清へ返還するように、フランス・ドイツ帝国・ロシア帝国が日本に対する勧告「三国干渉」をして来た対抗処置の一環であり、主として満洲を勢力圏としていたロシア帝国による朝鮮半島への南下を防ぎ、日本の安全保障と半島での権益の確保が目的だった。

所がロシアは千八百九十八年に露清密約を結び、日本が手放した遼東半島の南端に位置する旅順・大連を租借し、旅順に旅順艦隊(第一太平洋艦隊)を配置するなど、満洲への進出を押し進めて行った。

ロシアは千九百年に清で発生した義和団事変(義和団事件)の混乱収拾を口実に満洲へ侵攻し、満洲全土を占領下に置いた。

ロシアは満洲の植民地化を既定事実化しようとしたが、日英米がこれに抗議しロシアは撤兵を約束するが、ロシアは履行期限を過ぎても撤退を行わず駐留軍の増強を図った。

ロシアの南下が自国の権益と衝突するとボーア戦争を終了させるのに戦費を調達した為国力が低下してアジアに大きな国力を注げない状況で在った英国は危機感を募らせ、千九百二年に長年墨守していた孤立政策(栄光ある孤立)を捨て、日本との同盟に踏み切った。

朝鮮半島・大韓帝国は冊封体制から離脱したものの、満洲を勢力下に置いたロシアが朝鮮半島に持つ利権を手掛かりに南下政策を取りつつ在った。

ロシアは李氏朝鮮の第二十六代王・高宗の妃・閔妃(ミン)を通じ売り払われた鍾城・鏡源の鉱山採掘権や朝鮮北部の森林伐採権、関税権などの国家基盤を取得し朝鮮半島での影響力を増したが、ロシアの進める南下政策に危機感を持っていた日本がこれらを買い戻し回復させた。

当初、大国ロシアの国力を承知する日本側は外交努力で衝突を避けようとしたが、ロシアは強大な軍事力を背景に日本への圧力を増して行った。

日本政府内では小村寿太郎桂太郎山縣有朋らの対露主戦派と、伊藤博文、井上馨ら戦争回避派との論争が続き、民間においても日露開戦を唱えた戸水寛人ら七博士の意見書(七博士建白事件)や、万朝報紙上での幸徳秋水の非戦論といった議論が発生していた。

千九百三年四月二十一日に京都に在った山縣有朋の別荘・無鄰庵で、小村寿太郎・桂太郎・山縣有朋・伊藤博文による「無鄰菴会議」が行われる。

その席上で桂太郎は、「満洲問題に対しては、我に於て露國の優越権を認め、之を機として朝鮮問題を根本的に解決する事、「此の目的を貫徹せんと欲せば、戦争をも辞せざる覚悟無かる可からず」と言う対露交渉方針について伊藤と山縣の同意を得た。

桂太郎は後に、「この会談で日露開戦の覚悟が定まった」と書いているが、実際の記録類ではむしろ伊藤博文の慎重論が優勢であったようで、後の日露交渉に反映される事になる。

日露戦争(にちろせんそう)その(二)・日露交渉】に続く。

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by mmcjiyodan | 2010-10-26 00:29 | Comments(0)  

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