睦仁親王(明治天皇)即位の疑惑
ご壮健であらせられた孝明天皇が数えの三十六歳の若さにしてあえなく崩御してしまった事から、直後にその死因に対する不審説が漏れ広がっている。
この「孝明天皇の謎の死」が、もし謀殺で在ったなら、お側近くに仕える公家の中にその犯人が居なければ、説明が着かない。
もしそれであれば、孝明帝暗殺の陰謀はそこで完結するのでは無く、ある目的の大陰謀の序章に過ぎない恐れがあった。
となると、そのお側近くに仕える公家には孝明天皇謀殺に止まらない一連の大陰謀があり、確信犯的な目的を持って居た可能性を感じる。
そして孝明天皇の腹心とも言える侍従は、後に明治維新を主導した野心の固まりの様な人物・岩倉具視(いわくらともみ)卿だった。
京都での公武合体の推進を担ったのが、幕府総裁職・松平慶永(まつだいらよしなが/春嶽)や京都守護職・松平容保(まつだいらかたもり)である。
この時点で、江戸幕府守旧派と尊皇攘夷の革新派が、国家体制をめぐって大きく対立していた事に成る。
守旧派のトップは、北朝系「孝明天皇」と徳川第十四代将軍・家茂(いえもち)」で、二人の思想は、「公武合体、鎖国攘夷」である。
二人は和宮(孝明天皇の妹、家茂の妻)を通じて義兄弟で、旧体制の維持を謀っていた。
その二人が、相次いで亡くなった。
その死が不自然で、今日でも根強く「暗殺説」が囁かれている。
こんな矛盾する事は無いのだが、この孝明天皇の突然死が謀殺であれば、御側(おそば)近くに仕える公家にしか為し得ない。
つまり、混迷する幕府政治の情況を打開すべく動いた尊皇攘夷派公家の仕業としたら、一連の動機は尊皇では無く野心満々の立身出世である。
確かに情況は切迫し、この時に明治維新の大業がなされなければ、日本の運命は欧米いずれかの植民地に変わっていたかも知れない。
しかし、孝明天皇は突然病死した。
その跡を継いだ睦仁親王(明治天皇)が、途中で「誰かと入れ替わった」と言う噂が存在する。
あくまでも噂であるが、その後の皇統史的扱いから疑いの色は濃い。
千八百六十七年一月三十日(慶応ニ年十二月二十五日)、孝明天皇が崩御される。
孝明天皇の第二皇子・睦仁親王(明治天皇)が皇位を継承する事で周囲の話しは進んでいた。
しかし若い睦仁親王が「立腹している」と言う困った事が起きた。
父帝・孝明天皇は極端な攘夷論者で、睦仁親王もそれに習って攘夷論者だった。
所が、尊皇派の公家にしても尊皇攘夷派の志士達も、下関戦争(馬関戦争/ばかんせんそう)と薩英戦争(さつえいせんそう)で欧米列強の戦闘能力を知ってアッサリと倒幕一辺倒に切り替え攘夷の看板を下ろしていた。
孝明天皇(こうめいてんのう)の攘夷勅命(じょういちょくめい)を無視された事で、睦仁親王は尊皇派の公家にしても尊皇攘夷派の志士達にも不満を漏らしていた。
それがどうした事か或る日突然、誰かに説得されたのか不自然に人が変わったように「攘夷」の意向を口にしなくなる。
この突然の睦仁親王の変身に、「或る大きな陰謀が在った」と主張する噂話が囁かれ始めたのはなんと御所の周辺からだった。
確かに攘夷派の親孝行な少年天皇に愚図られては倒幕処ではなく、そして倒幕派には「攘夷」の力など在りはしない。
睦仁親王の突然の変身が、孝明天皇の謀殺と同じ公家達の陰謀であれば、それこそ一連の大陰謀の仕上げかも知れない。
確かに攘夷派の親孝行な少年天皇に愚図られては倒幕処ではなく、そして倒幕派には「攘夷」の力など在りはしない。
千八百六十八年ニ月十三日(慶応三年一月九日)、睦仁親王は満十四歳で践祚(せんそ/天子の位を受け継ぐ事)の儀を行い皇位に就く。
睦仁親王は元服前の践祚(せんそ)で在った為、立太子礼を経ずに明治天皇となっている。
【明治天皇】へ続く。
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