践祚(せんそ/天皇位の継承)

皇室の最も重要な行事に、践祚(せんそ)が在る。

践祚(せんそ)とは、天皇位の継承(天子の位を受け継ぐ事)であり、それは先帝の崩御あるいは譲位によって行われる。

古くは「践�<」と書き、「践」とは位に就く事で、「�<」は天子の位を意味する。

これに続いて位に就いた事を内外に明らかにするを即位と言う。

日本に於いて、第五十代・桓武天皇(かんむてんのう)以前の践祚(せんそ)は即位と同義だった。

第五十代天皇である平城天皇は、即位に先立ってこの践祚(せんそ)を行い、その後に即位式を行っている。

これ以後、践祚と即位の区別がなされるようになったと思われる。

丁度この践祚(せんそ/天皇位の継承)の形式が始まったのが、桓武天皇の時代と重なった事で、やはり桓武天皇の「新しい時代を切り開こう」と言う強い意志を感じる。

この区別の為、践祚のみで即位式が行われなかった第八十五代・仲恭天皇(ちゅうきょうてんのう)は、「半帝」と呼ばれて太上天皇号も崩御後の諡号(しごう/おくりな)も贈られる事も無かった。

順徳天皇の第一皇子・懐成親王(かねなりしんのう)が、承久の乱に絡んで四歳で践祚(せんそ)するもわずか七十八日間で廃され、即位も認められていなかった。

懐成親王(かねなりしんのう)が即位を認められ「仲恭(ちゅうきょう)」の諡号(しごう/おくりな)が贈られたのは、実に崩御から六百三十六年後の事である。

天皇が崩御(ほうぎょ/亡くなる)した場合の践祚(せんそ)は諒闇践祚(りょうあんせんそ)、譲位の時の践祚は受禅践祚(じゅぜんせんそ)と称し、古くはその儀式に違いがあった。

この違いは譲位の時には前天皇が譲位の宣命を出す「譲位宣命宣制」が践祚(せんそ)の最初の儀式として行われる為である。

但し現憲法下では生前に帝位を譲る「譲位の制度」がない為、崩御(ほうぎょ/亡くなる)時の践祚(せんそ)しか存在しない。

践祚(せんそ)にかかる儀式を「践祚の儀(せんそのぎ)」と言い、先帝崩御後直ちに行われる「剣璽等承継の儀」及び新帝が即位される。

現憲法下では、即位後初めて三権の長(内閣総理大臣、衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官)を引見される「即位後朝見の儀」は共に国事行為とされる。

さらにその後、先帝の諒闇(りょうあん/新帝が喪に服する期間)が明けて行われる御大典「即位の礼」・「大嘗祭(おおにえのまつり/にいなめさい)」へと続く。


践祚(せんそ)し皇位を継承するには「三種の神器(みくさのかむだから/さんしゅのじんぎ)」を先帝から受け継ぐ事が必要とされる。

三種の神器(みくさのかむだから/さんしゅのじんぎ)は八咫鏡(やたのかがみ)・八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)・天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ/草薙剣)で構成されるが、その内八咫鏡(やたのかがみ)は祀られている賢所(かしこどころ)を含む宮中三殿を相続する事によって受継ぐ。

続いて、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)と天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ/草薙剣)を受継ぐ儀式が「剣璽等承継の儀」となる。

八咫鏡(やたのかがみ)は天の岩戸伝説(あまのいわとでんせつ)に於いて、岩戸に隠れた天照大神(あまてらすおおみかみ)を誘い出すツール(道具)として使われた。

八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)も、同じく岩戸隠れに際して玉造部(たまつくりべ)の祖神・玉祖命(たまのおやのみこと/豊玉神・とよたまのかみとも言う)が作り、八咫鏡とともに榊の木に掛けられた。

天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ/草薙剣)は、須佐之男命(すさのうのみこと)が出雲・簸川上(ひのかわかみ)で倒した八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の尾から出て来たとし、その時の名前は都牟刈の太刀(つむかりのたち/偉大な力を持つ太刀)であった。


皇位そのものの証明は三種の神器の所持を以て挙げられる為、南北朝正閏論に於いては神器が無いまま即位した北朝の正当性が否定される根拠の一つとなっている。

南北朝並立時代から室町時代を経由して戦国時代の乱世に、上下関係の身分秩序を侵す武力行為で上位者を倒して地位を乗っ取る事が下克上(げこくじょう)である。

金も力も無い天皇家が、その乱世の下克上(げこくじょう)の時代でさえ践祚(せんそ)し皇位を継承し、生き残ったのは何故だろうか?

時の権力者へ官位官職を授けて権威を持たせる事が天皇の主たる仕事であり、兵を持たない非力な立場でも、その認定者としての存在価値故に天皇家は永く続いた。

その背景に在ったのは、日本が血統至上主義社会だったから、歴史的に稀有な存在として他に変え難い天皇家である。

だからこそ、これ以前の日本史もこれ以後の日本史も、その存在を利用したり蔑(ないがし)ろにしたりしながらも天皇家を中心に廻って行く事になる。

この南北朝並立時代も、これから起こる本能寺の変明治維新も、そこに天皇家が在っての事である。

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by mmcjiyodan | 2013-03-21 11:43 | Comments(0)  

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