貨幣改鋳(かへいかいちゅう)
目的の一つは財政政策で、支出の増加により悪化した財政の補填、大火や地震などの災害復興の為の費用、戦費や隊の維持費などを捻出する為に行われた。
改鋳によって貴金属の含有量を減らして以前より貨幣量を増やし、増えた分を益金(シニョリッジ)として得る事を目的として行われるものが多かった。
もう一つの目的は「気受け(きうけ)」に対する施策で、金銀不融通(きんぎんふゆうずう/資金の集中滞留)状況に対する対策である。
つまり大商人の倉に通貨が滞留して市中経済の活発を阻害した場合に、新通貨の貴金属の含有量を減らし価値を落とす事で、商人の手持ち旧通貨が差損を出す方策で強引に商人の消費を促す施策を採用した。
この貨幣改鋳に依る経済政策には、正反対の二つの意見がある。
正徳年間に貨幣改鋳を行なった新井白石は、貨幣数量説に基づいて「貨幣量が増加した事が物価の上昇をもたらした」と主張した。
弘化年間に町奉行に再任した遠山景元は、文政から天保期の物価上昇は「貨幣改鋳が原因の一つ」と主張している。
改鋳によるインフレーションは、貨幣価値の下落=貨幣の購買力の低下=平価切り下げとも言われている。
その一方で、改鋳による貨幣量の増加は貨幣の流通を後押しし、市場経済の活性化や拡大を促すとも言われている。
まぁ、この通貨量を増やす政策、現代の日本銀行がマイナス金利政策まで踏み込んだが、時の総裁がほぼ太平洋戦争と同じ期間の三年八カ月経過して「もう任期中には目標を達成できない」と匙を投げたほど理屈通りには行かないものである。
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by mmcjiyodan | 2016-12-13 18:09