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富国強兵と財閥・軍閥

明治維新が成功し、「近代日本政府」はやっと成立した。

だが、やがて新しい制度の中で新たな権力が育ち、富が一部に集中し、日本を戦争への道へ進ませ、悲惨な歴史を刻み始めるのに、五十年とは要さなかったのである。

「財閥と軍部の台頭」が、それである。

つまり、近~現代に於ける政治・経済の構造は、「四~五十年」で、疲労してしまうのだ。

先の大戦に至る、日清戦争日露戦争朝鮮半島併合満州国建国、など近隣国を巻き込む「不幸な歴史」も、その背景には「日本国内の不況」と言う事情があった。

千九百三十六年(昭和十一年)、民間人を含む皇道派青年将校のリーダー達十七名とその指揮下にある兵約千五百名に拠る「昭和維新・尊皇討奸」を目指す二・二六事件が勃発する。

この動乱も、不況の中、青年将校が立ち上がった改革クーデターである。

維新の制度改革によって、初めて氏族ではない将校が誕生するに至り、見捨てられた農村部の苦境が、実感として判る様になったからである。

その背景には、財閥と軍の結び付きによる「富の集中」があり、彼らの心情は、察する所、余りある。

一部の金持ちと、多くの貧乏人と言う構図が出来上がっていた。

その青年将校達の改革クーデターの試みが失敗すると、かえって軍部の力が強まってしまい、経済問題までもが、「武力解決が主流」になってしまった。

当時、農村部の小作農家の娘達の多くは、都会の娼婦館に身売りして行かざるを得ない程、経済的に追い詰められていた。

「野麦峠」などの作品で知られる劣悪な労働条件下の奉公も、農家に米の収穫以外、現金収入を得る手段が無かったからである。

その環境下で凶作に合うと、農村部はひとたまりも無い。

そこで、軍閥と財閥が狙ったのが満州であり、中国である。

つまり、次の四、五十年の原資を、闇雲(やみくも)に「外地に求めた」のだ。

そして、その無理は通らなかった。

豊臣秀吉政権の無謀な外地獲得行為の教訓は忘れられていた。

長期的に見ると、富が一部に集中するやり方は資金の回転を鈍らせ、内需は慢性不況に陥る事になる。

一番単純な話し、痩せた土地からは思うような収穫は得られない。

国民を富ませなければ国税は得られない。

一部を富ませるやり方は、やがてその一部に国の方向まで握られ、彼らの利益のみに国家の方針が進む事になる。

経済運営とは、一歩間違うと国の進むべき方向を狂わしたり、国を滅したりする魔物なのだ。

つまり、国民を豊かにする事こそ、国家の暴走を止める唯一の手段である。

戦前は財閥、軍閥と言う新たな貴族(氏族)が跋扈(ばっこ)していた。

敗戦でご破算になって六十年、「格差があって何が悪い。」と言う政府が氏族の発想で、また新しい資産家貴族を生み出しつつある。

米国は低賃金労働力を移民に頼ったが、現政府は非正規雇用制度を推し進め国民に低賃金労働力を求め、財政建て直しを図っている。

これは、時代に逆行する政策である。

一度廻り始めた歯車は、行き着く所まで行かないと止まらない。

日清・日露の戦いも、支那事変も、その後の世界大戦も、財閥と軍閥の圧力の成せるものである。

当初批判的だった昭和天皇陛下も、東條英機氏も、廻り始めた歯車を止める事は出来なかった。

見える世界に、実は見えない世界が潜んでいる。

それを、額面通りに見える世界で判断する所に、「安易さ」は生まれる。

見える世界で判断する青臭さは、それこそ日本人が「信じたがる物語」で、その先の事は、結果が出てからでないと考えない。

現在の日本は、国民の厳しい監視の下にあるべきである。

「富国強兵」の名の下に、財閥を育てた過去の日本がどう言う結果になったのかは、誰でも知っている。

結局の所、益々財閥に都合の良い政治が行なわれて軍事国家色が強くなり、破滅の道を選ぶ結果になった。

それが敗戦でご破算に成り、戦後の中小企業に活力があった時代は、日本経済全体が活況だった。

それを稚拙な金融政策で見捨てて来た。

多くの人々の受け皿(働き口)は中小零細企業で、採用の選別を前提とする大企業ではない。

国際競争力の確保は、地に足の付いた長期的な国力の維持発展の為にも、底辺の中小零細企業の重点育成を強化する道があったはずで、それなら未来の若者に等しくチャンスと夢の場所を与えられたはずである。

実は、「美味しいから」と、翌年の「種」まで食べ尽くしてしまったような形振り構わないやり方が、この五年間の金融機関優遇、大企業優遇の金融政策だった。

残念ながら、団塊世代の築きあげた中小零細の事業基盤は、金融機関と大企業に食い尽くされ、今更取り返しが付かないまま老後を迎え、国家の負担世代に成りつつある。

定年の世代になって「再チャレンジ」と言われても、金融環境を含め、強大化しつつある資本に対抗する術は無い。

極端な事をすれば必ず咎めは出るもので、中小零細企業が生きていれば、団塊世代や若者達の受け皿(働き口)は残っていて、まだまだ国家の負担世代には成らない現役が多数居た筈である。

従って、教育問題を教育方針だけに分けてあれこれ言うのは筋違いである。

頑張れば中小零細企業の親方や社長に成れた時代の若者と比べ、チャンスと夢の場を失い、長い事経営に苦しむ親達を見せられて、教育方針を是正しただけで、未来が見えない若者が「まっとうに育つ」などと言うのは、政権政党のいい加減な誤魔化しである。

現代の日本は、政財界が一致して、「国際競争力」の名の下に新たな「階級社会」を形成しつつある。

明らかに、戦前の「地主と小作の立場」そして「軍と財閥の富の独占」が、形を変えてよみがえりつつあり、恐ろしい事に、この階級社会は教育機会(教育費用)の点で固定化を招き、挽回の可能性を難しくしそうである。
つまり国民は、政府に「ひた隠し」にされながら、国際競争力の名の下に新たな「階級社会に誘導されよう」としているのである。

「馬鹿げている」と否定できれば良いのだが、庶民が甘く見ていると、一部の者に富が集中する二千年前の氏姓制度に、形を変えて昔帰りしそうである。

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by mmcjiyodan | 2008-04-27 20:08 | Comments(0)  

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