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西南戦争/西南の役

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西南戦争は、明治新政府に反旗を翻した西郷隆盛率いる薩軍と政府軍の日本国内最後の内戦である。

この西南戦争、巷に溢れる諸説は本当なのか、「この戦役は、西郷隆盛の死を覚悟した計画的出来レースで有った。」と言ったら、貴方は信じるか。

実は、そう読めない事も無いのだ。

もしも、西郷隆盛が新政府の政務に自分の身の置き所が見出せず、「引き際を考えて居た」としたら・・・・。

また、明治維新の大業を為したとは言え、多くの血を流した将として燃え尽き、死を望んで居たとしても、心情的には無い訳では無い。

西郷は、自らの役目が「終わった」と感じていたのだ。

何時の時代でもそうだが、政権交代は武力の素養に勝る者で成されても、混乱が収まると次は官僚の素養に長ける者の出番である。

つまり、必ずしも同じ者に継続してこの二つの役割を勤める資質が有る訳ではない。

この両者の軋轢は、その節目の過渡期には必ず現れるものだった。

その時点で、身の置き所を失う名将を、歴史は「嫌」と言うほど見詰て来て居た。

その内の一つが、まさに西郷の始末の付け方だったのである。

如何なる政策変化にも百パーセントの合格政策は無い。

何故なら、政策の変更には必ず損する者と得する者が在るからで、そこを恐れては政治改革など出来ない相談である。

しかしながら、政策の変更で損する者はそれでは収まらない。

それがこの時は、武士と言う特権階級を失う者達だった。

西郷隆盛は、己の死をもってその責めを負う覚悟を決断した。

確かに、もし西郷隆盛が単に政府に不満が在るだけならば、先見を持つ隆盛が、敗けると予測が立つ「西南の役蜂起」はまるで説明が着かない。

明治新政府が新たな政治体制を確立する為には産みの苦しみが必要で、武士を中心とした旧体制は早急に葬る必要が在った。

現に武力に拠る組織的な反抗は、封建武士の不満を一身に請負った西郷隆盛の死に拠って収まっている。

実は、西郷隆盛の「征韓論」の頑なな主張に拠る大久保利通・参義らとの対立と参議を辞しての下野、薩摩(鹿児島)への帰省そして挙兵には、真相が外に有った。

西郷は、欧米列強に伍する国家体制を確立する為に、血統のみを頼りにした旧来からの特権階級・武士の特権を、「無し」と改める必要を強く感じていた。

その為には、古い「武士」と言う階級の存在が、「不要なもの(役に立たない)」として終わった事を示さなければ成らない。

当時最強と謳われた「薩摩藩兵」が、明治政府の民兵に敗れなければ、各藩の不平士族は納まりそうも無かったのである。


鎌倉・室町と言う旧来の幕府政権の慣例として、徳川将軍家は朝廷軍の最高位・征夷大将軍を任じて「徳川幕府」と言う政権を担った。

維新新政府の組織は確かに過去と違うが、西郷隆盛は新政府唯一の大将位で軍を統括する立場にあり、本来なら新政権で最有力の権力に在って不思議は無い。

それがアッサリと軍を辞任した事で、敢えて過去とは違う「天皇親政」を強力にアピールする効果を意図して狙ったのではないだろうか?

理性では割り切れない事も、感性の思い入れが強ければ理解できる。

つまり西郷にとって明治維新は、自分が生み出した身を棄てても(自らを犠牲にしても)惜しくは無い心境の、歴史そのものだったかも知れない。

すなわち西郷は、改革に伴なう痛みとして西南戦争を引き起こした。

しかし最近の小泉総理とは違い、痛みを伴なったのは庶民ではなく特権階級の方だった所が、西郷の英雄たる由縁である。

西郷が、私心を捨てられる人物だったからこその、維新の偉業である。

元々西郷の心に在ったのは、純真に「西欧列強から国を守る為の思い」であり、自らの出世欲ではない。

その私欲の無さが認められていたからこそ、西郷は維新の中心人物足りえた。政権の中心に座っても、その西郷の気持ちにブレはない。

新政府の目先の難題は、失業し、特権も取り上げられた不満士族(氏族)だった。

今、不満士族(氏族)に圧されて振り子が旧来の封建社会の世に振れ戻ったら、維新は文字どうり水泡に帰す。

「彼らを黙らせなければ成らない。」

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by mmcjiyodan | 2008-04-28 08:29  

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