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出雲阿国(いずものおくに)

出雲阿国(いずものおくに)は、阿国歌舞伎で一世を風靡した当時の女性大スターである。

阿国は、「出雲大社の巫女だった」と言う言い伝えがあるが、実は出雲大社に大社と阿国を結び付ける文献は一切残っていない。

只、江戸時代に成って鍛冶師・中村の娘(こ)と言う話が定説化して行く。

阿国は、当時流行(とうじはよ)った奇抜な装束・傾(かぶ)き衣装=歌舞伎衣装に関しては、自らが着用する事は無かった。

傾(かぶ)き衣装は、野郎歌舞伎以後に江戸の舞台で発達したのである。

出雲阿国は、出雲大社所属の鍛冶方「中村三右衛門の娘」と言われている。

この鍛冶方が曲者で、元々鍛冶師・踏鞴(たたら)師は、山岳信仰の傍(かたわ)ら鉱物探査を受け持つ修験山伏の出身であり、雑賀根来とは深い関わりがある。

正式な鍛冶方は渡来占有金属技術を持つ百姓身分の氏族であるから勿論中村姓を名乗っていて、その娘・阿国の名乗りは「中村国ではないか」と思われる。

また、こうした渡来系金属技術者の別の顔は、陰陽修験の一郭を占める鉱物山師であると同時に諜報活動者である場合が多かった。

遊女の元々のルーツ(起源)は、「官人(高級貴族役人)の接待に神社が巫女を充てた事に拠る」とされる事から、歌舞音曲の遊芸もそうした環境の中で育ち、次第に様式化されて源義経の愛妾・静御前で有名な平安期の白拍子などもその巫女起源の遊女の分類に入る。

それと言うのも、元々俘囚身分の蝦夷族社会には自然信仰と群れ婚(集団婚)の習俗が残っていて共生村社会を営んでいた経緯が在ったから、それが容易だったのである。

そうした経緯を踏まえて考えれば判る事だが、出雲阿国は最初出雲神社の巫女だったが神社修復の勧進(寄付集め)の為に旅回りの巫女踊りを始め、「そこから大衆演劇・歌舞伎踊りに到った」とされる。

そして阿国が評判を得たのがツンツルテンの衣装を着た「幼子(ややこ)踊り(子供踊り)」と言う子供の踊りであった。

腰巻の上に重ねて着ける裾除(すそよ)けの蹴出(けだ)しは勿論、腰巻の普及さえ江戸期に入ってから武家や裕福な町人の間で始まった物で、時代考証としてこの時代に衣の重ね着は在っても下着は無い。

それで白拍子静御前が激しい男舞いを舞ったり、歌舞伎踊りで出雲阿国が丈の短い幼子(ややこ)の衣装で踊れば着物の裾が乱れる結果は明らかで、つまり「見せて何ぼ」の娯楽だった。

娯楽の踊りに色気は付き物で、白拍子の「男舞い」にしても阿国歌舞伎の「幼子(ややこ)踊り」にしても、要は乱れた着物の裾から踊り手の太腿(ふともも)が拝める事で人気を呼んだのだ。

そうとするなら、現在の映画やテレビドラマのような優雅な踊りではなく、下着を身に着ける習慣がないノーパンティ時代に丈が足りない衣装で腿も露(あらわ)に踊った事に成る。

もっともこれを史実通りに映画化すれば、今の時代では十八禁指定を採らなければ成らないだろう。

勿論、雑賀者の女諜報員・出雲阿国には本来の出自とは違う創作の公式プロフィールが用意される。

一説には、出雲阿国は出雲大社の巫女をしていたが、出雲大社修繕の為に諸国を勧進し、浄財(寄付)を集める手段として巫女姿で神楽舞や念仏踊りを舞い踊る様になり、やがて男装で踊る様になって、「歌舞伎踊りと呼ばれた」とされる。

また一説には「阿国は、河原者であった」とも言われるが定かな事は明らかではなく、今日までその「いずれかが事実」と信じられまさか雑賀の女諜報員とは見抜く者も居ない。

勿論、笛太鼓の音曲に拠る歌と舞踊りの「歌舞の女性」を歌舞伎(かぶぎ)と言うが、かぶきは「傾ぶく」で、常識外れを意味する。

阿国のかぶきは、実を言うとかぶいては居ない。

原点にあったのは、「かぐら(神座・かみくら)踊り」であり、勘解由小路党の「白拍子」衣装の進化形だった。

公家武家社会には馴染みの「白拍子の男装姿」が、後の阿国の時代の「特に庶民」には異様に見え、相当傾ぶいて受け取られたのである。

旅芸人に身をやつした出雲阿国(いずものおくに)は「ツンツルテンと表現する丈の足りない子供の浴衣の様な衣装」で妙齢の美女が腿も露(あらわ)に「ややこ(こども)踊り」と言う子供の踊りを踊って爆発的人気を得る。

同朋衆(どうぼうしゅう)の芸である猿楽能の観阿弥・世阿弥など上流社会の歌舞音曲から見世物小屋の軽業に至るまで、実は修験道武術ルーツであり、その当初の主なる目的は密偵だった。

従って現代歌舞伎に於ける見顕(みあらわ)し、仏倒(ほとけだお)れ、引き抜き、早替り、トンボ(を切る)、戸板倒し、宙乗(ちゅうの)り、荒事(あらごと)などの大技もその修験武術の流れを汲む忍び術の名残と言える。

阿国=中村国であるなら現代歌舞伎の中村屋一門の祖が鍛冶方・中村三右衛門で、出雲阿国流の末裔かも知れない。

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by mmcjiyodan | 2008-04-30 00:12 | Comments(0)  

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