霊犬伝説「鎮平犬」

大神=狼=犬神信仰は、「陰陽修験の基本だ」と我輩は考えている。

まるで同一の組織が、違う土地で同じパターンを使用したように似ていて、そこに、陰陽修験の影が見え隠れしているのだ。

福知山線篠山口駅から西へ一キロメートル余り行った所に、犬飼村の大歳神社がある。

この神社にも、人身御供の伝説が残っている。

主役はこれまた「鎮平犬」と呼ばれる霊犬の話で、能登国(石川県)七尾の霊犬伝説「霊犬伝説「しゅけん」」や遠江国(静岡県)見附宿の霊犬伝説「霊犬伝説「しっぺい太郎(悉平太郎)」」と良く似た所がある。

こうした伝説はパターンが似ている事から、この辺りの経緯(いきさつ)に修験山伏の影がチラつくのだ。

昔、或る年に、北近畿(丹波・丹後・但馬)地方の或る村で神隠し事件が起こった。

氏子の中に五人、七人と次々に行方不明者が出てきて村中総出で捜しても、行方不明者の消息は判らない。

消息の掴めない神隠しであるから、「これは神のお怒りの禍(わざわい)である」との結論になり、神の怒りを静める為に氏子の連中が相談して人身御供を供える事に決め、くじを引いて祭りの夜に供える事にした。

その村では、毎年祭りの夜に人身御供を供える神事は続いていた。

村の取り決めであるから否とは言えず、村人は例年泣く泣く人身御供を供えていた。

所が、或る年のくじを引きで犠牲者に当たった家では大変悲しみ、何とかこの災難を逃れようとただ一心に神にすがり、三七日の祈祷をした。

ここまで育てて来て、漸(ようや)く花も盛りの年頃を迎えたばかりの愛しい娘である。

娘は、親でさえ惚れ惚れするほど麗しく育っていて、とても人身御供などには出せる物ではない。

一生分を使い果たしたと思うくらい散々に泣いたが、勿論娘への思いは断ち切れない。

するとその祈祷の満願の明け方に一人の童子が現れ、「氏子の悲嘆を聞くに忍びず故、霊験を持って汝らに教えよう。」と、神の声をその村人に伝えた。

童子の話に拠ると、江州犬上郡にある江州多賀明神は伊裝冉尊を祀るが、この宮も元は人身御供の禍(わざわい)があった。

しかし多賀明神宮の禍(わざわい)は、「鎮平犬と言う犬が化け物を退治し、この厄を逃れた。」と言い、「今もこの犬が犬上郡にいる。借りて来て、例祭の時この犬を器に入れておけ。神は不思議な力をこの犬に与えるであろう。」と伝えた。

これを聞いた村人は「これで村の禍(わざわい)は無く成る。」と大いに喜び、神のお告げの通り江州犬上郡から犬(鎮平犬)を借りて来た。

借りた犬をお告げ通りに箱に納めてしめ飾りを神前に供え、村人が木の陰に隠れ刀を構えて待っていた。

夜半になって、天地を揺るがす大音とともに恐ろしい怪物が現れて拝殿に躍り上がり、供え物の箱に手をかけるやいなや中に居た鎮平犬が凄い声を出しながら怪物に噛み付き、ともに縁から庭に落ちて行った。

上になり下になり、鎮平犬と激しく争う怪物を見た村人が、「これは大変」と怪物の隙を伺い、助太刀に入って怪物に数太刀切りつけて見事怪物を退治する事が出来、以来人身御供の神事は取り止めに成った。

この怪物は、「三眼の大狸だった」と言われ、丹波・丹後・但馬地方は、元々「化け狸伝説」の多い地方ではある。

その後、鎮平犬は大切に村で飼われ、村名もこの事から「犬飼村と改めえられた」と言う。

詳しくは【天狗修験道と犬神・人身御供伝説】に飛ぶ。

日本の伝説リスト】に転載文章です。

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by mmcjiyodan | 2008-08-15 18:05 | Comments(0)  

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