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「沢田の大蛇退治 」伝説

丹波国・篠山の池尻神社(いけじりじんじゃ)の伝承を挙げる。

それが、数ある伝承の中身を良く考えると、全てに共通する「まるでお決まりにパターン化された物」のように、これらの伝承は良く似ている。

昔、大山の或る里に年老いた両親と美しい娘が住んでいた。

その村では、秋祭りには、毎年十五歳になる前の少女を人身御供(ひとみごくう)に出さ無ければならなかった。

そのくじ引きにある美しい娘が当って、その両親はたいそう悲しみ、そろって氏神(うじがみ)様・池尻神社(いけじりじんじゃ)にお願いに行った。

娘は不幸を嘆(なげ)き、父母の気持ちを思って途方にくれ、深く神に祈りを捧げた。

或る日、池尻神社(いけじりじんじゃ)では、神主(かんぬし)が浮かぬ気持ちで秋祭りに備え、境内(けいだい)を掃き清めていた。

「今年も人身御供に娘を供する」と思うと、祭りとは言え痛ましい話で、神主の心は浮かなかった。

ちょうどそこへ、都から来た若い武士が参拝に立ち寄った。

実はこの武士、国の氏神のお告げで、西国の「桜の木の下に住む」と言う娘と、結婚する為の「相手探し旅」の途中だった。

武士は、「池尻神社の神様にも、お告げの相手を聞いてみよう」と思って、一心に神様にお祈りをした。

そのうち若い武士は、疲れてウトウトと夢を見た。夢の中では人身御供に代わって桜の木が現れ、神の声が聞こえた。

夢うつつの中で驚く若い武士に、神の声は続ける。

「邪心(じゃしん)を祓(はら)い、人身御供の娘と夫婦になり、神の恵みを伝えよ。智仁(ちじん)備えし勇者に宝剣(ほうけん)一振りを与える。」

その声とともに宝剣が桜の木の上に降りて来た。

ハッとして若い武士が目覚めると、何と夢の筈が桜の木の下には現実に宝剣が在った。

「目の前に御神刀(宝剣)がある」と言う事は、この夢が神のご託宣に違いない。

都から来た若い武士は、その娘が「探していたわが嫁である」と確信した。

神が夢枕に告げるからには、嫁探しの旅の目的地はこの池尻神社(いけじりじんじゃ)だったのである。

確信をもった若い武士は、「これこそ神の恵み。」と言ってその宝剣をおし戴(いただ)いた。

若い武士は、嫁となる娘を怪しい物への人身御供から守る為に神に導かれたのである。

お祭の当日になって、若い武士は目を光らし、辺りを警戒していた。

人身御供の祭事も済んで娘を奉納し、村人も帰った後に成り不思議にも草木がザワザワと動揺し、星一つない真っ暗な夜に成ってしまった。

夜中になって雨も降り出した頃、目をギラギラさせ、炎を降らせながらこちらに近づいて来る異様なものがあった。

武士は、「池尻大明神(いけじりだいみょうじん)」と心に念じて剣を抜いて待っていた。

雨がさらに激しくなったその時、怪しい物が急に武士に襲いかかった。

武士が居る事に気付いていたのだ。

飛び違い、かいくぐって武士が斬(き)り付けると、流石に宝剣で、「ズン」と手ごたえがあり、怪しい物が「ギャー。」と悲鳴をあげた。

妖怪は傷つき、宝剣を恐れて岩に登って逃げとしたので、引き下ろし、「エィ。」と剣を刺し貫くと、怪しい物はのたうって暴れ、やがて大人しくなった。

若い武士は、その怪しい物を苦闘の末に漸く退治したのだ。

その瞬間、空は急に明るくなって、そこに十メートル余りの大蛇(だいじゃ)が死んでいた。

武士は、老夫婦の一人娘と結婚し、村に住みついて、「子孫が栄え、村もたいそう繁栄した」と伝えられている。

「沢田の大蛇退治 」と伝えられる、丹波国・篠山の伝承である。

詳しくは【天狗修験道と犬神・人身御供伝説】に飛ぶ。

日本の伝説リスト】に転載文章です。

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by mmcjiyodan | 2008-08-20 17:02  

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