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南総里見八犬伝の謎(その一)北辰信仰(妙見信仰)

ここに、その真言密教(東密修験)を題材とする象徴的な小説「南総里見八犬伝」がある。

その名作・「南総里見八犬伝」を紹介しよう。

この「南総里見八犬伝」が真言密教(東密修験)を題材に、弁天様(伏姫)と犬(八房)の畜生道(獣姦)が発端の物語である。

「南総里見八犬伝」の舞台となった安房の国(今の千葉県の一部)里見氏(さとみうじ)清和源氏新田家流の系図である。

詳細は不明だが新田(源)家基の子息、里見義実が安房国に移って土地の領主安西氏を追放し安房の領主となる。

慶長十九年(千六百十四年)、里見忠義が舅である大久保忠隣失脚に連座して安房を没収され、鹿島の代替地として伯耆国倉吉三万石に転封となったが、実態は配流と同じ扱いであった。

そして元和八年(千六百二十二年)、忠義が病死すると、「跡継ぎが居ない」として里見は改易された。

曲亭(滝沢)馬琴(本名:滝沢興邦)の「南総里見八犬伝」はこの里見氏の遺臣達が活躍する「架空の物語」である。

滝沢馬琴の筆に拠って八房(犬)と里見家の伏姫を主人公とし、伏姫(里見伏)は自ら八房の妻となる事で八房の怒りを鎮め、やがては菩提心へと導く物語である。

当初、八房と父の犬との戯れの約束、「敵将の安西の首を持ち帰れば伏姫をやる。」との約束に、八房が見事敵将・安西の首を持ち帰る。

所が、伏姫の父が「たかが犬との約束」とないがしろにし、約を破って八房の恨みを買い、里美家は次々に不幸に見舞われる。

伏せ姫が父の落ち度に心を痛め、約束を果たし、八房の怒りを静める為に「八房の妻」となる決意をする。

それで、安西との戦の功により、八房は伏姫と富山の祠(ほこら)で同棲するに至る。

実は、八房には伏せ姫のあずかり知らない過去の恨みによる陰謀が、怨念として付いていた。

それ故、伏せ姫を畜生道(獣姦)に導きて、この世からなる「煩悩の犬」となさんと、最初からの企みが背景にあった。

元々伏姫一人を畜生道(獣姦)に落とすのみならず、伏姫に「八房の子を孕ませよう。」と言う心づもりがあったのだ。

富山の祠(ほこら)で同棲した伏せ姫は、やがて懐妊し、八つの玉を産み落とす。

曲亭(滝沢)馬琴は情交なしの懐妊を書いているが、情欲によって伏姫を身ごもらせたなら、それはやはり畜生道(獣姦)の交わりなのではあるまいか。

「自らを犠牲に供する事によって男を救済する菩薩(弁才天)の慈悲」を、馬琴の筆により伏姫は、その物語に於いて体現している。

八房の情欲を転化させるアイテムとして、「法華経」の獣姦の過ちをも赦す「提婆達多品」が登場する事となる。

馬琴にも、流石に人間、それも清浄の姫君と獣の交わりを書くのは多いに抵抗があったのだろう。

曲亭(滝沢)馬琴(本名:滝沢興邦)のこの筆の舞台が、妙見信仰の地を選んだ事、中にダキニ天(稲荷様・稲成り)と思われる狐の化身や北辰信仰(妙見信仰、天一星信仰、北斗信仰、北極星信仰)など、明らかに密教から題材をとっているのだ。

この物語、近世(江戸期・文化・文政時代)に入ってから書かれているが、その原点は陰陽修験道に関わる「昔話の伝承にあった」と見る。

馬琴が付けた「伏姫(ふせひめ)」の意味は、明らかに「山伏(修験者)の(所有する)姫」を意味している。

伏せ姫にあたる女性が何者かは思い至らなくても、八房はまさしく陰陽師勘解由小路党の「大神(おおかみ/狼)」であり、八つの玉(八人の子)は皇統・葛城氏族(賀茂氏)の血統を持つ「優秀な存在」と位置就けられていたのである。

南総里見八犬伝の謎(その二)修験人身御供伝説】へ続く。
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by mmcjiyodan | 2009-03-29 03:54  

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