占術・その(五)続・喜凶方位(きっきょうほうい)風水学の二
形法は自然を観察し、自然を理解することを重視する。
この理論自体は、実際の調査考察の結果から生み出されたものが多く、きわめて合理的なものを含んでいる。
古代都市の宮殿などは、みんな「龍穴」と言うエネルギースポットに建てられている。
この場所は、三方を山脈に囲まれ風を制御でき、平地には豊かな水に恵まれている。
つまり、風水を当て嵌めなくても、都市を建設するには、うってつけの場所なのである。
その立地が、抽象的な「気」と自然環境における具体的な形態との関係を示している。
従って、深く真剣に自然の形態を観察しさえすれば、気の吉凶順逆を知る事ができる。
それによって建築物の禍福を推測し、良地を選び出せるのである。
元を正せば、支配者の住居の選定の為の自然を考慮した環境学、健康学、と言う観点からの立地工学だった。
しかしながら、中華思想の立場を考察すると、中華王城の鬼門の方位、東北の方角(艮/うし‐とら)は万里の長城で解る通り、外敵(異民族)の侵入ルートである。
裏鬼門、南西(坤/こん)の方位は、台風の進入してくる方位である。
従って、本来の成立ちを勘案すると、日本の古都(王城)や江戸(東京)に中華王城の鬼門の方位が宛て嵌まる物ではない。
言わしてもらえば、当時の大和朝廷が、文明の進んだ中華の文化文明を手放しで有り難がり、模倣した結果である。
その、中国の皇帝の鬼門の方位が、何故に日本の家庭の鬼門に通用するのか大疑問で有る。
基本的には、生活の知恵的地理学で在った筈の風水学が、信仰や政治に利用され、その時点で「人為的な都合が混ざっている」にも関わらず、構わずにそれを金儲けに利用する輩が後を絶たない。
かれらは、何を当て嵌めて、人々を迷わそうとするのか?
およそ気分的な域を脱せず、物笑いの種である。
本来、皇帝の居城位置を基本にした中国四千年の風水と、日本のそれぞれの土地や個人の家、それぞれの風水の龍穴は、それぞれに違って当たり前である。
それを一定の方位ルールに基ずいて他人にものを言い始めたら、それは暴挙だから疑って構わないだろう。
明治維新後の千八百七十二年に至り、新政府は陰陽道を迷信として廃止させた。
現代には土御門家の開いた天社土御門神道と、高知県物部村に伝わるいざなぎ流を除けば、ほとんど暦などに残滓を残すのみであるが、神道や新宗教などに取り入れられた陰陽道の影響は宗教として存続している。
この庶民に関わりが無い風水学を庶民に売り込んでいる風水師は、中華王城の鬼門の方位を庶民の住居に「どう使おう」と言うのか?
【占術・その(六)仏滅暦(ぶつめつこよみ)】に続く。
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皇統と鵺の影人
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