占術・その(三)物忌み喜凶祓い
そこで、「物忌み祓い」が必要になる。
元々「物忌み祓い」は、神官が神々の祭祀にあたって心身の清浄を保つ為に飲食や行動の規制(斎戒)の意味だった。
具体的には一定の期間外出を控え、同時に「物忌み」と書きつけた柳の枝の小片や紙片をしのぶ草と言う植物の茎に結い着けて冠や髪、御簾などに差して凶兆を避ける呪法を意味する。
物忌みの最中はどんな事が起こっても大声で話をせず、絶対に「他所(よそ)の人に会わない」と言った事が行われていて、物忌みの日数は暦や式占によって決められる事が多かった。
その物忌みに使われる柳や「鬼門の方に植えた」とされる桃の木は陰陽道では魔除けの木として珍重された。
物忌みよりも更に積極的に、凶兆や魔を退ける為に行われたのが「祓い」の儀である。
陰陽道が盛んな頃には月のうちに日を定めて「一ノ祓」、「八ノ祓」、「望月ノ祓」、「晦(みそか)ノ祓」などが行われ、常にまがまがしいしいものを寄せつけない様にしていた。
他には「鳴弦(めいげん)」や豆撒きのルーツである「追儺(ついな)え」と言ったものがあった。
今日でも行われている「名越(夏越/なごし)の祓え」も陰陽道の代表的な祓いである。
「撫物(なでもの)」はその名の通り、撫でる事によってその人の穢(けが)れをすっかり移してそれを川へ流す、もしくは焼くなどの処分をして穢(けが)れを他世界へ送り出す呪物の事を意味する。
今日でも「大祓の神事」などで見受けられる紙の人形が撫物(なでもの)に相当する。
人形は人形呪術と言う視点から見ると本来の撫物(なでもの)の域を越えて呪殺で使用される様になった。
呪術的方法で怨敵の魂を人形に入れ込み、これを焼いたり切ったり釘を打ったり辻に埋めたりした様である。
また、人形も単に人の形をしたものばかりではなく、いっそう効果を高める為に呪文や九字を書いたりして工夫された。
「式神(しきがみ)」とは陰陽師が使役する鬼神を意味し、「識神」と書く場合もある。
「式」という字には「用いる」と言う意味があり、「式神」と言う神がいる訳ではない。
有名な式神としては「安倍晴明が使役した」とされる十二神将(青龍、勾陳、六合、朱雀、騰蛇、貴人、天后、大陰、玄武、大裳、白虎、天空)が上げられる。仏教にも十二神将の名が見られるが、まったく別のものである。
「符呪」とは陰陽道の呪文を書きつけた霊符呪術の事を意味する。
「お札やお守りの原形」と考える事ができる。
陰陽道で常用する呪文に「急急如律令」があり、これは物事の成就を早める符呪である。
符呪は初期には感じと組み合わせて用いる事が多かった様だが、密教や修験道と融合すると梵字を加えたものや神仏の名を記したもの、絵を加えたもの、九字や五芒星を加えたものなど沢山の符呪が編み出された。
【占術・その(四)喜凶方位(きっきょうほうい)風水学の一】に続く。
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