占術・その(一)迷信
つまり、信じられ積み重ねられた伝統や風習、信仰も最初は誰かが仕掛けたもので、それが永く伝わるとまるで疑いも無く信じられる「常識」に成るのが「世間」と言うものである。
日本人が心の指標としてきた神仏・呪術、占術についても、検証して置きたい。
人間誰しも先の事は闇で、人生多かれ少なかれ思いも拠らぬ事その一瞬で人生は変わる。
そこに運命的なものを感じるから、人は占術に凝り神頼みになる。
本当の事を言うと、「奇跡」なんてそう珍しい物ではない。
人が産まれ、生きている命の奇跡だけで充分奇跡なのである。
人間は、そこに気が付かないから欲に走り、思い通りにならないと神に頼る。
欲に走れば思い遣りが無くなり、心は修羅になる。
それに、神の役目は見守るだけだから、過分な期待で頼られたら迷惑なのだ。
人間は普段、基本的に論理的な左脳と感性的な右脳を使い分けて生活している。
しかし、論理的でない偶然との出会いには感性的な解釈をし、論理的でない事象には言い知れない不安と恐怖を覚える。
その論理的でないものの解決には右脳域の感性を用いて、神仏信仰・呪術、占術を頼る事に拠って解決しようとする。
そしてそれを信じ込んだ時から、アンカリング効果と一貫性行動理論の虜になる。
人間は、ものを考える(思考する)から苦悩する。
実はこの思考を、停止させ(ゆだねる)る事で、苦悩から精神的に開放されるのが、信仰における救いである。
勿論、苦悩から救われる事は大事な事で、大いに結構である。
「無我の境地」と言うらしい。
しかし気を付けないと、思考を停止する事により、邪(よこしま)な教義に操られる事例も多い。
占いや信仰は精神世界のもので、凡そ現実的で無い事象を信じる事も多い。
勿論嘘が全て悪いものではない事を前提に言うのだが、占いや信仰を乱暴に表現すれば「嘘を持って人心を安んじるもの」である。
それだけに、「利」に走ると一部かも知れないが質(タチ)の悪い占いや信仰も存在する。
占いや信仰でご利益が在ったり貴方の未来が手に取るように判るなど正に「在りもしない奇跡」である。
つまり真っ当(全う)な人間なら、「信仰は精神世界のもの」で現実とは矛盾する多くの虚構を含んでいる事は承知の事実で、詰まり「在りもしない奇跡」が存在しなければ、人々の救いを求める精神世界は満足させられない。
いずれにしても本書では、純粋に歴史的事実の観点から占いや信仰を扱っているので、関係者には容認できない事もあるかも知れない。
実は人間社会に於いて、信仰や占術は個人の精神世界の心情が基本に成るものだけに「或る種の聖域」に成っていて、歴史の真実には絡み難いものである。
つまり余分な争いを避けるには「触れてはならないもの」として信仰や占術が聖域化され、歴史を歪めて来た部分も多い。
この物語は、その「触れてはならないもの」に敢えて踏み込み、歴史の真相に迫って見たいのである。
およそ占いや宗教はそうした心理的な物が、不安の中で生きる人間に安心感を与える形で迷信的に進入して来た。
その心理的安心感が、少しずつ支配を司る為の呪術信仰に近い物に大成して行く。
そこでまず、朝廷が推進した「陰陽寮」の賀茂忠行・賀茂保憲父子、安倍晴明が残した現代の陰陽道の吉凶占術と方位学、暦、そして呪術に対する解説を冷静に付け加えておく。
占いフアンの「期待には添えない」と思うが、今後の参考にして欲しい。
【占術・その(二)ルーツ】に続く。
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皇統と鵺の影人
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