シヴァ神(破壊神)
弘法大師・空海や伝教大師・最澄が日本に持ち帰った経典の中にも、ヒンドゥー教の教義や祭祀の信仰は含まれていた。
従って桓武天皇が設けた中務省・陰陽寮に於いても、ヒンドゥー教の統治に都合の良い部分は組み入れられていても不思議ではない。
「ヒンドゥー」の語源は、サンスクリット語(梵語)でインダス川を意味し、宇宙の創造を司るブラフマー神 、宇宙の維持を司るヴィシュヌ神 、宇宙の寿命が尽きた時に世界の破壊を司るシヴァ神 、この神々は三神一体(トリムルティ)と呼ばれて「一体を為(な)す」とされている。
しかし現在では創造神・ブラフマー神を信仰する人は減り、現世神・ヴィシュヌ神と愛の神・シヴァ神が二大神として並び称され、多くの信者がいる。
インド・ヒンドゥー教は神々への信仰と同時に輪廻や解脱と言った独特な概念を有し、四住期に代表される生活様式、身分(ヴァルナ)・職業(ジャーティ)までを含んだカースト制等を特徴とする宗教である。
ヒンドゥー教は、キリスト教やイスラム教のような特定の開祖に拠って開かれたものではなく、インダス文明の時代からインド及びその周辺に居住する住民の信仰が受け継がれ「時代に従って変化したもの」と考えられている。
インド・ヒンドゥー教はバラモン教から聖典やカースト制度を引き継ぎ、土着の神々や崇拝様式を吸収しながら徐々に形成されて来た多神教であり、また地域や所属する集団によって非常に多様な信仰形態をとる為にヒンドゥー教の範囲は非常に曖昧で、生活に密着した赤裸々な神であり、煩悩を容認し性に赤裸様(あからさま)ある。
何しろインドは、古代から人生の三大目的としてカーマ(性愛)、ダルマ(聖法)、アルタ(実利)が挙げられる国で、三大性典とされる「カーマ・スートラ」、「アナンガ・ランガ」、「ラティラハスヤ」と言った性典を生み出した愛と性技巧の国である。
インド・ヒンドゥー教は正直な神で、ヒンドゥー教の三最高神の一柱のシヴァ神(破壊神)の象徴はリンガ(男根)であり、つまり性愛の神様でもある。
ヒンドゥー教に於けるシヴァ神(破壊神)は災いと恩恵を共にもたらす神で、例えば洪水は大きな災いだが同時に「土地に水と肥沃をもたらして植物を育てる」と言う二面性があり、古来日本の五穀豊穣と子宝信仰の共通性としての性交信仰に通じる所がある。
日本の元神様は事代主神(ことしろぬしのかみ)で、田の神様(稲作の神)である。
事代主神(ことしろぬしのかみ)には、呪詛巫女が神の御託宣を伝える様式が存在する。
そして五穀豊穣(実り)と子孫繁栄(子宝)は大事な祈りであり、性交(お祭り)は神に祈る儀式だった。
神は生活を共にする恋人、神に捧げる踊りの原点はインド・ヒンドゥー教のシヴァ神(破壊神)に在り、シヴァ神(破壊神)の象徴はリンガ(男根)であるから、神楽・巫女舞の原点として、或いは陰陽修験道と人身御供伝説のカラクリとして時の統治政策に応用されたのではないだろうか?
弘法大師・空海がもたらした真言密教の教えでは「あるがままに眺める」としていて、これはインド・ヒンドゥー教の教義に通じ、欲望を始め世の一切の法は、「その本性は清浄なものだからである」と、自然に存在する性的欲望を菩薩のものとして肯定し、真言・陀羅尼を唱え、心に本尊(大日如来)を念ずる事によって、仏の不思議な力により「煩悩にまみれた生身のまま成仏(即身成仏)できる」とされている。
つまり弘法大師・空海のもたらせた初期真言密教の教えでは、本能(煩悩)で汚れた人々を、「真言・陀羅尼を唱える事で救う」と言う教えである。
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