ヒンドゥー教と日本の信仰
しかし黎明期の日本列島は文化文明の後進国だったから、早くから進んだ古代黄河文明や古代インダス文明を採り入れて国家を築くのは当然の事である。
古代インダス文明は、東方の国々に多くの影響を与えた。
インド・ヒンドゥー教の神や祭祀は一部形を変えながらも、日本の仏教と神仏習合の神道に影響を与えている。
我が国では、密教の権現・としてダキニ天(荼枳尼天)を仏教でも神道でも祀る。
ダキニ天(荼枳尼天)は、元々はインドのヒンドゥー教の女神で、「荼枳尼天」は梵語(ぼんご/サンスクリット語)のダーキニー(英字:Dakini)を音訳したもので、ヒンドゥー教ではカーリー(インド神話の女神/仏教・大黒天女)の眷属(けんぞく/属神)とされる。
インドに於いてはジャッカルが荼枳尼天(ダキニ天)の使い神の象徴とされていたが、中国や日本に伝わった時、インドに居たジャッカルが居ない為に狐が代用されて使い神とされた為に日本では神道の権現・稲荷(大明神)と習合する。
稲荷神社(いなりじんじゃ・おきつねさん)は「稲なり神社」で、富と子孫繁栄の神様である。
稲荷神社は、財産や福徳をもたらすとして信仰され、老舗(しにせ)の商家の奥庭や繁華街の一郭に、商売繁盛(現世利益)の神様として祭られたりしていた。
この富と子孫繁栄の神様・稲荷(大明神)が、日本の江戸期に存在したおかみさん文化の原点になったのかも知れない。
弘法大師・空海や伝教大師・最澄が日本に持ち帰った経典の中にも、ヒンドゥー教の教義や祭祀の信仰は含まれていた。
従って桓武天皇が設けた中務省・陰陽寮に於いても、ヒンドゥー教の統治に都合の良い部分は組み入れられていても不思議ではない。
実は北辰妙見信仰に於ける天地開闢(てんちかいびゃく)神話に於ける世の最高神・天之御中主神(あめのみなかみぬしかみ)=陀羅尼神(だらにしん/全ての祈り神)もヒンドゥー教の三最高神の一柱・ヴィシュヌ神(天地創造神/見渡せる神)が妙見(見通す)に通じる所から、「同一の神である」と考えられるのだ。
インド・ヒンドゥー教は生活する事に正直な神で、ヒンドゥー教の三最高神の一柱のシヴァ神(破壊神)の象徴はリンガ(男根)である。
ヒンドゥー教に於けるシヴァ神(破壊神)は災いと恩恵を共にもたらす神で、例えば洪水は大きな災いだが同時に「土地に水と肥沃をもたらして植物を育てる」と言う二面性がある。
神は生活を共にする恋人、神に捧げる踊りの原点はインド・ヒンドゥー教のシヴァ神(破壊神)に在り、シヴァ神(破壊神)の象徴はリンガ(男根)であるから、神楽(かぐら)・巫女舞の原点として、或いは陰陽修験道と人身御供伝説のカラクリとして時の統治政策に応用されたのではないだろうか?
リンガ(男根)の神・シヴァ神(破壊神)に「土地に水と肥沃をもたらして植物を育てる」と言う能力が有るのであれば、日本神道の主神でもある賀茂信仰・五穀豊穣神・事代主(ことしろぬし)の神を祀る祭祀に、子宝に恵まれる事と五穀豊穣を祈る事の共通性をもったエロチックな呪詛が存在しても不思議は無い。
その初期陰陽修験は、密教の到来と伴に真言宗・東密修験と天台宗・台密修験として僧と修験者の垣根が無くなり、修験者が僧に僧が修験者に教えを請う形で北辰妙見信仰は様々な教義を創設して新しい宗派を成立して行くのである。
日本では祇園神とされている朝鮮半島由来の守護神・牛頭天王(ゴヅテンノウ)=スサノウ(須佐王)であるが、もう少し深く探ると基は多神教であるインド・ヒンドゥー教で、「牛」は神聖な動物として崇拝されている「ナンディン(聖なる牛)信仰」がその源流の様である。
多神教であるインド・ヒンドゥー教では生き物も神であり、シヴァ神の乗る「ナンディン(乳白色の牡牛)神」と成った事で神聖化が進んだ「牛」は、神聖な動物(聖なる牛)として崇拝されている。
そしてこのナンディン(乳白色の牡牛)神、シヴァ神が踊りを舞う時「その為の音楽を奏でる役を担う」とされている。
牛頭天王(ゴヅテンノウ)が、元々シヴァ神が踊りを舞う祭礼音楽の奏者を担う神であれば、祇園祭(ぎおんまつり、ぎおんさい)の祭礼神で在っても不思議は無い。
そう成って来ると、日本神話(天孫降臨伝説・天岩戸伝説)に於ける天宇受売命(あめのうずめのみこと)の存在も、ヒンドゥー教の「シヴァ神がモデルではないか?」とも思えて来るのである。
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