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児玉源太郎(こだまげんたろう)その(二)

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日露戦争が勃発し、千九百四年(三十七)十二月、児玉源太郎(こだまげんたろう)は乃木希典が攻めあぐねていた二百三高地に対し火力の集中という要塞攻撃の常道を行う為、元々海岸防衛用の恒久据え付け砲で移動が困難な二十八センチ榴弾砲を、敵陣に接近した場所まで一日で配置転換を行うと言う奇抜な作戦を取ったとされる。

児玉源太郎(こだまげんたろう)は日頃から豪快で、度胸が据わった上に融通も機転も効く秀才だった。

しかしその融通も機転も、「武人としてはいささか小ズルイ」と内心引け目に思う気持ちから真っ直ぐに純真な乃木希典の存在が眩しかった。

戦は真っ直ぐに純真では勝てないし、勝利にはズルさも必要な事は承知していたが、源太郎(げんたろう)は自分にない人格的長所を持つ乃木希典に対する尊敬の念を終生抱き続け、無二の親友として接していた。

源太郎(げんたろう)は、希典の性格を知る故に二百三高地に無謀な突撃を繰り返す希典を側面支援し、そして砲撃と突撃隊の突撃を同時に行い、二百三高地を半日で陥落させた。

さらに二百三高地に弾着観測所を設置し、砲兵の専門家の助言を無視して二百三高地越えに旅順湾内のロシア旅順艦隊に二十八センチ砲で砲撃を加え、敵艦は旅順湾街に降り注ぐ砲弾を少なくするため次々と自沈し壊滅した。

これによりロシア太平洋第二・三艦隊(所謂バルチック艦隊)は単独で日本の連合艦隊と戦わざるを得なくなり、旅順攻囲戦の目的は達成された。

旅順要塞のロシア軍は二百三高地陥落を境に弱体化しこの一ヶ月後に降伏、要塞司令官アナトーリイ・ステッセリ(またはステッセル)と乃木希典の水師営の会見(旅順開城交渉)が行われる。

源太郎(げんたろう)は、国際情勢や各国の力関係を考慮に入れて戦略を立てる事の出来る広い視野の持ち主で、日露戦争全体の戦略の立案、満州での実際の戦闘指揮、戦費の調達、アメリカへの講和依頼、欧州での帝政ロシアへの革命工作などあらゆる局面で彼が登場する。

当時のロシアは常備兵力で日本の約十五倍、国家予算規模で日本の約八倍という当時世界一の超大国であり、日本側にとって圧倒的不利な状況であったが、それを覆して日本を勝利に導いた功績は高く評価されている。

また、児玉ケーブルと言われる海底ケーブルを日本周辺に張り巡らした事で、現代戦で最も重要と言われる情報のやり取りを迅速に行える様にし、この事で日本連合艦隊は大本営と電信通信が可能となって大本営が自在に移動命令を出せる為、日本海海戦の為だけに全軍が集結する事が可能になった。

源太郎(げんたろう)は百年以上も前に、最新の軍事ドクトリンの一つとしてアメリカ国防総省を中心に唱えられているネットワーク中心の戦い(Network-centric warfare,NCW)を実現させ、日本海海戦の大勝利をもたらした。

世紀の名将・児玉源太郎(こだまげんたろう)は、日露戦争勝利の為に心血を注ぎ込んだとも言うわれ、戦争終結八ヶ月後、脳溢血で急逝した。

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by mmcjiyodan | 2010-10-19 00:35  

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