自己責任(じこせきにん)
この根底にあるのが「武士道精神」で、つまりは責任の自己完結=切腹の精神の建前である。
日本的武士道の感性では一度失敗したら切腹物で、事業家が事業を潰したら二度と浮かび上がれないから、もはや手遅れ状態でも最後まで踏ん張って、手の施しようが無い酷い状態にまで引きずってしまう。
しかしその責任の自己完結=切腹の精神は、裏を返せばジョージ・ワシントンの桜木の逸話・「正直」とは正反対の、実は中々責任を認めない卑怯者を増産する事に繋がっている。
役人も、そして裁判官・検事・警察官も一緒で、「失敗は腹切り物」の風潮が世間で強いから、一度方針を決めると間違いは絶対に認めない。
つまり間違いの責任を認めた時点で世論の建前は再起不能が相場だから、一般的に不都合が生じると誤魔化したり隠したりを先にして情況を悪化させる。
そこで結論を先送りする事で責任の所在をうやむやにし、同時に戦艦大和症候群なる病を多発させている。
「武士道精神」と言う今時流行(いまどきはよら)ない男の美学など覚悟の無い者には只の妄想で、実状は「早期に対処すべき事柄を先送りする」と言う弊害の方が遥かに多いのである。
この「武士道精神(責任の自己完結=切腹)」を前提にすると、急な結論を出したい時にこそ間違いに慎重に成って結論が出せない会議を延々とし、前例の無い事には誰も責任を引き受けない。
面白い事に、建前が潔(いさぎよ)さを求めるほど本音の部分でそう簡単にお仕舞いは嫌だから、益々潔(いさぎよ)い者は減って行く事になる。
日本の恥じの文化は、当初は「生き方や行動に恥じない事」と解されていたが、武士道精神の「責任の取り方」から失敗は致命傷になる為、現実は「恥に蓋をする文化」になってしまった。
これら全ては、美徳とされる武士道の国の「建前」の弊害そのものである。
それにしても、国がこの「自己責任(じこせきにん)」を言うのは大いに問題があり、国が決めた法律・法令で必ず割を喰う国民が出るが、基本的には自己責任(じこせきにん)である。
例えば、バブル経済を崩壊させたのは大蔵省銀行局が金融機関宛に出した「土地関連融資の抑制について」による人為的な急ブレーキであるが、本来なら慎重に対処して軟着陸も可能だった処理を誤まっても、それで蒙る個々の損失は「自己責任(じこせきにん)」である。
詳しくは【日本人・その気質のルーツ】を参照して下さい。
関連参考文献
【金と日本人】に飛ぶ。
【家制度恥文化の規制的な行動制約】に飛ぶ。
【良い加減・放棄と融合】に飛ぶ。
【頑張る(がんばる)】に飛ぶ。
【物造り大国・日本】に飛ぶ。
【物造り大国・日本の矛盾】に飛ぶ。
【第六巻】に飛ぶ。
皇統と鵺の影人
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未来狂冗談のもうひとつの政治評論ブログ「あー頭にくる」<=このブログのランキング順位確認できます。by mmcjiyodan | 2011-04-25 02:41