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崇神大王(すじんおおきみ/天皇)と欠史八代(けっしはちだい)

古事記」及び「日本書紀」に於いて、系譜(帝紀)は存在するもののその事績(旧辞)が記されていない第二代・綏靖天皇から第九代・開化天皇までの八人の大王(おおきみ/天皇)の事、或いはその時代を指して欠史八代(けっしはちだい/缺史八代、また別体で闕史八代)とされている。

これらの天皇には実在説もあるが、史学界で支配的なのは「実在せず後に創作された架空のもの」とする考えが下記「欠史八代」である。

◆第二代・綏靖大王(すいぜいおおきみ/天皇)= 神渟名川耳天皇(かむぬなかわみみのすめらみこと)
◆第三代・安寧大王(あんねいおおきみ/天皇)=磯城津彦玉手看天皇(しきつひこたまてみのすめらみこと)
◆第四代・懿徳大王(いとくおおきみ/天皇)=大日本彦耜友天皇(おおやまとひこすきとものすめらみこと)
◆第五代・孝昭大王(こうしょうおおきみ/天皇=)観松彦香殖稲天皇(みまつひこかえしねのすめらみこと)
◆第六代・孝安大王(こうあんおおきみ/天皇)=日本足彦国押人天皇(やまとたらしひこくにおしひとのすめらみこと)
◆第七代・孝霊大王(こうれいおおきみ/天皇)=大日本根子彦太瓊天皇(おおやまとねこひこふとにのすめらみこと)
◆第八代・孝元大王(こうげんおおきみ/天皇)=大日本根子彦国牽天皇(おおやまとねこひこくにくるのすめらみこと)
◆第九代・開化大王(かいかおおきみ/天皇)=稚日本根子彦大日日天皇(わかやまとねこひこおおびびのすめらミコト)

これらの大王(天皇)を「後に創作された架空のもの」とする根拠は、第十代・崇神大王(すじんおおきみ/天皇)の名称にあり、崇神大王(すじんおおきみ/天皇)の別名である御肇國天皇(ハツクニシラススメラミコト)が、「初めて天下を治めた」と言う意味を持つからである。

つまり崇神大王(おおきみ)には、現代日本の学術上、実在の可能性が見込める初めての天皇と言う評価がある。

「記紀神話(古事記/日本書紀)」の謎解きの中にはこうしたメッセージも巧みに隠されていて、本来の系図では第十代・崇神大王(すじんおおきみ/天皇)が初代である事を物語っている。

第四代・懿徳大王(いとくおおきみ/天皇)及び第六代・孝安大王(こうあんおおきみ/天皇)から第九代・開化大王(かいかおおきみ/天皇)までは明らかに和風諡号(わふうしごう)と考えられる。

所が、記紀(古事記/日本書紀)のより確実な史料による限り、和風諡号(わふうしごう)の制度が出来たのは六世紀半ば頃で、時代が符合しない。

しかもこの間の大王(おおきみ/天皇)位相続に関し、当然都合で発生すべき兄弟相続が一切無く、総て父子相続と成って居る所など後世に作為的に創造された神話の証拠ではないだろうか?

つまり初代・神武大王(じんむおおきみ/天皇)東遷当時はまだ西日本列島の統一半ばであり、或いは「崇神大王(すじんおおきみ/第十代天皇)が初代に統一王(大国主)で在った」と考えられる。

そして「欠史八代」が伝えるべき史実の核が無いままの「記・紀神話(古事記/日本書紀)」の捏造あれば、欠史八代の天皇群陵墓に矛盾が在り古墳出土品に系譜が刻まれて居ない説明が着く。

それでは「欠史八代」の謎をどう捉えれば良いのだろうか?

そこで登場するのが伊豆・伊都国に誕生し、勢力を拡大して紀伊半島奈良の地に新たに葛城の都を創った賀茂・葛城朝の存在である。

初代・神武大王(じんむおおきみ/天皇)と欠史八代の王朝の所在地を葛城(現在の奈良県、奈良盆地南西部一帯を指す)の地に比定(不確実な推定)する説である。

この葛城王朝は文字通り奈良盆地周辺に起源を有する勢力であるが、神武東遷(じんむとうせん)後に九州を含む西日本一帯を支配した「九州の豪族で在った」とされる「第十代・崇神大王(すじんおおきみ/天皇)に踏襲された」とこの説は結論付けている。

この葛城王朝説は邪馬台国論争とも関連しており、「邪馬台国(やまたいこく)は畿内に在った」として葛城王朝を「邪馬台国」に、崇神大王(すじんおおきみ/第十代天皇)の王朝を「狗奴国(くなくに)」にそれぞれ比定する説もある。

或いは「邪馬台国は九州に在った」として崇神天皇の王朝が邪馬台国またはそれに関連する国、或るいは「邪馬台国を滅した後の狗奴国である」とする説などがある。

しかし我輩は、神武朝「狗奴国(くなくに)」と葛城朝「伊都国(いとこく)」は同じ呉族系海洋民族の国であり、葛城王朝・邪馬台国(やまたいこく)説はとても肯定できない。

それで、加羅系農耕民族比売命(ひめのみこと/卑弥呼)の「邪馬台国(やまたいこく)」が、「狗奴国(くなくに)」と「伊都国(いとこく)」の連合勢力に圧されて「天の岩戸伝説誓約(うけい)に到った」と考えたのである。

皇統の初期段階の大王(おおきみ/天皇)について、実在を裏付ける資料がほとんど無い事から「伝説上だけの存在で、実在しないではないか?」とされ、「欠史八代」として別に扱われる大王(おおきみ/天皇)が居る。

この欠史八代と初代・神武大王(じんむおおきみ/天皇)が、賀茂・葛城氏の主神・事代主神や賀茂・葛城御門(臣王)家と婚姻関係に在る事で、初期皇統の神武朝と賀茂朝をに見事に混合した疑いがある。

注)初代・神武大王(じんむおおきみ/神話・伝説上の初代天皇)から第二十五代・武烈大王(ぶれつおおきみ/第二十五代天皇)までを「上古天皇」と分類している。

詳しくは関連小論・【神武東遷物語・神話顛末記】を参照下さい。

詳しくは【欠史八代(けっしはちだい)と香殖稲(かえしね/根を反す)】を参照下さい。

詳しくは【葛城ミステリーと伊豆の国=伊都国(いとこく)説】を参照下さい。

◆神話で無い、リアルな初期日本人の成り立ちについては、【日本人の祖先は何処から来たのか?】を参照下さい。

◆このコンテンツ(記事)を「引用」・「転載」する時は、必ず原作者名・未来狂冗談を明記した上で出典元の当方アドレスをリンクで貼って下さい。


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by mmcjiyodan | 2011-11-05 18:31  

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