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張作霖爆殺事件(ちょうさくりんばくさつじけん)〔ニ〕

張作霖爆殺事件(ちょうさくりんばくさつじけん)〔一〕】に戻る。

千九百二十八年(昭和三年)六月四日の早朝、張作霖は蒋介石(しょうかいせき)の率いる北伐軍との決戦を断念して満洲へ引き上げる途上にいた。

関東軍司令部では、国民党の犯行に見せ掛けて張作霖を暗殺する計画を、関東軍司令官・村岡長太郎中将が発案、河本大作(こうもとだいさく)大佐が全責任を負って決行する。

河本大佐からの指示に基づき、六月四日早朝、爆薬の準備は、現場の守備担当であった独立守備隊第四中隊長の東宮鉄男大尉、同第二大隊付の神田泰之助中尉、朝鮮軍から関東軍に派遣されていた桐原貞寿工兵中尉らが協力して行った。

現場指揮は、現場付近の鉄道警備を担当する独立守備隊の東宮鉄男大尉がとった。

二人は張作霖が乗っていると思われる第二列車中央の貴賓車を狙って、独立守備隊の監視所から爆薬に点火した。

その為、爆風で上から鉄橋(南満洲鉄道所有)が崩落して客車が押しつぶされた上に炎上したものである。

張作霖の乗る特別列車が、奉天(瀋陽)近郊、皇姑屯(こうことん)の京奉線(けいほうせん)と満鉄連長線の立体交差地点を時速十km程で通過中、上方を通る満鉄線の橋脚に仕掛けられていた黄色火薬三百キロが爆発する。

列車は大破炎上し、交差していた鉄橋も崩落し、張作霖は両手両足を吹き飛ばされ、警備、側近ら十七名が死亡した。

張作霖は、現場で虫の息ながら「日本軍がやった」と言い遺(のこ)す。

奉天城内の統帥府にかつぎこまれた時には絶命していたが、関東軍に新政府を作らせまいと十七日後の六月二十一日にその死は発表された。

同列車には張作霖の元に日本から派遣された軍事顧問の儀我誠也(ぎがせいや)少佐も同乗していたがかすり傷程度で難を逃れた。

しかし儀我誠也(ぎがせいや)少佐が、事件直後に張作霖配下の荒木五郎奉天警備司令に激怒した話が伝わっている。

張作霖の私的軍事顧問で予備役大佐の町野武馬(まちのたけま)は張作霖に要請されて同道したが天津で下車した。

また、山東省督軍の張宗昌(ちょうそうしょう)将軍も天津で下車し、常蔭槐(じょう いんかい)は先行列車に乗り換えた。

車両に乗車していた奉天軍側警備と線路を守っていた奉天軍兵士は爆発の直後やたらと発砲し始めたが日本人将校の指示によって落ち着き、射撃を中止した。

同乗していた儀我少佐が事件直後に語った処に拠ると列車は全部で二十輌、張作霖の乗っていたのは八輌目であった。

爆破によりその八輌目の前側車輌が大破し、先頭部の六輌は二百メートル程走行して転覆し、列車の後半部は火災を起こした。

八輌目では張作霖の隣に呉俊陞(ごしゅんしょう)、その次に儀我少佐が座って会談していた。

呉が張と儀我少佐に寒いからと勧めるので張は外套を着ようと立った瞬間に大爆音と同時にはね上げられ爆発物が頭上から降ってくる。

為に儀我は直ちに列車から飛び降り、張は鼻柱と他にも軽症を負い護衛の兵に助けられて降りた。

近くに日本の国旗を立てている小屋があるので儀我少佐は張作霖にそこで休む事を勧めたがこの時にはまだ「何、大丈夫だ」と答えていた。

やがて奉天軍憲兵司令が馬で到着し、現場は憲兵で警護され、自動車が到着すると張作霖は自動車でその場を離れ、大師府に入った。

なお張作霖乗車の車両は貴賓車であり、かつては清朝末期に権勢を振るっていた西太后がお召し列車として使用していたものだった。

河本大佐らは、予め買収しておいた中国人アヘン中毒患者三名を現場近くに連れ出して銃剣で刺し、偽装工作を行う。

その死体を放置し「犯行は蒋介石軍の便衣隊(ゲリラ)によるものである」と、この事件が国民党の工作隊によるものであると発表する予定でいた。

しかし三名の内一名が死んだふりをして現場から逃亡し、程なく張作霖の息子・張学良の下に駆け込んで事情を話した為に真相が中国側に伝わった。

奉天軍閥を継いだ張作霖の息子・張学良も真相を知って激怒し、国民政府と和解して日本と対抗する政策に転換している。

張学良は、事件の約一年前の千九百二十七年七月に国民党に極秘入党していた事が、蒋介石日記から明らかになっている。

なお、張作霖の側近として同列車に同乗し事件で負傷した張景恵は後に満洲国国務総理大臣に就任している。

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関連小論・【張作霖爆殺事件・柳条湖事件の陰謀】を参照下さい。

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by mmcjiyodan | 2012-08-13 03:08  

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