富士山の名称の謂(いわ)れ〔一〕
富士の語源について、単純にポリネシア系縄文人(アイヌ)語で「噴出する所(火の山)」を指す「ふんち(噴地?)=(フジ)」が最有力である。
筆者が富士山の(フジ)について、ポリネシア系縄文人の言語として「噴出する所」と紹介したところ「何それ?」とにべも無く切り捨てた方が居た。
勿論、「何それ?」と切り捨てただけで全く反論の論証は無く、筆者の「WEBサイトが読み難い」と指摘しただけである。
そう言う方は、日本史の縄文期を切り捨てた弥生期以降の「天孫降臨伝説」の定説しか念頭に無い、日本史に於いて稚拙な方だと想う。
しかし「天孫降臨伝説」は、中華文明を携えて朝鮮半島を経由或いはダイレクトに大陸から渡来し、列島を強引に支配した弥生期以降の渡来人達の支配の為の捏造神話である。
いずれにしても、日本史には虚と実が混在している。
例えば、七百十二年編纂の古事記や七百二十年編纂の日本書紀は、かなり後世に編纂された物である。
勿論統治者の正当性を誇示し民衆の支持を得るのが目的だから、当時の統治者の都合の良い様に捏造された。
つまり先住民(蝦夷族/ポリネシア系縄文人)への迫害の歴史など、古事記・日本書紀で覆い隠してしまった。
その記紀神話(古事記・日本書紀)を基に構築された神社の由緒書きを「古文書」として採り、先住民(蝦夷族/ポリネシア系縄文人)の痕跡を頭から否定するのは無知以外の何者でもない。
ここで問題なのが、ネイティブジャパニーズ・日本列島固有の原住民族・先住蝦夷族(エミシ族)/縄文人の存在が、天孫降臨伝説で来征服部族に拠って「抹殺された歴史だ」と言う事である。
日本列島は、樺太から来た原人 、稲作縄文人、渡来と混合した弥生人を経て大和民族(ヤマト民族/日本人)の成立を見る。
ここから先は完全に仮説だが、可能性があるので記述して置く。
大和朝廷に於ける貴族・土御門安倍氏が、恭順した蛮族(あくまでも朝廷側の言い分・エミシ族)の指導者であり、珠流河国造の少し前、シャーマン的指導力を持つエミシ族の長「火(アピェ・ape)」が、駿河国安倍郡辺りに「勢力を有していたのではないか」と考えないと、安倍を冠する地名が、静岡県の中部に存在した理由は思い当たらないのである。
安倍川が極古い時代の「蝦夷(えみし)族と渡来氏族の勢力境界線であった」とすれば、富士山の名の由来も理解出来る。
前述したがアイヌ語で「フジ(huji)」は 「噴出する所」と言う意味である。
良く、富士山の事を「不死の山」と充てて信仰の対象にしているが、富士の語源がアイヌ語の「フジ(huji)」であれば、活火山として「噴出する所」・・即ち富士の山ではないだろうか?
アイヌ語の単純な火は「火(アピapi)」であるが、アイヌ語の「火の神」の火は「火(アピapi)」を使わず「火(フチfuti)」である。
火の神 (カムイフチkamuifuti)の火(フチfuti)が「火山=火の神」の言語生成図式ならば、「噴出する所(フチfuti)=火の神の火(フチfuti)」が成り立つのである。
渡来氏族の「あれを何んと呼ぶ?」と言う問い掛けへの蝦夷(えみし)族の答えが、「フジ(huji・噴出する所)」であった可能性は極めて高くなる。
つまり、アピェ(ape・火の意)のカムイ(kamuy・神)が、フジ(huji・噴出する所)・・・「活火山富士山」と解する事ができるのである。
そして、恭順合流した先住蝦夷(エミシ)の族長一派が「火(アピェ・ape)」を名乗るからこそ、後の俘囚長、東北の「安倍氏」が存在するのではないのだろうか?
この辺りの経緯については、政治的配慮からか、七百十二年編纂の古事記や七百二十年編纂の日本書紀にはまったく記述はない。
【富士山の名称の謂(いわ)れ〔二〕】に続く。
【第一巻】に飛ぶ。
皇統と鵺の影人
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