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武烈大王(ぶれつおおきみ/天皇)

小泊瀬稚鷦鷯尊(おはつせのわかさざきのみこと)は、仁賢大王(にんけんおおきみ/第二十四代天皇)雄略大王(ゆうりゃくおおきみ/第二十一代天皇)の皇女・春日大娘皇女(かすがのおおいらつめのひめみこ)を父母に持ちこの世に生を為したとされる。

仁賢七年正月三日に、小泊瀬稚鷦鷯尊(おはつせのわかさざきのみこと)は立太子する。

仁賢十一年年八月八日に仁賢大王(にんけんおおきみ)が崩御した後、大臣の平群真鳥(へぐりのまとり)が国政をほしいままにした。

重臣・大伴金村(おおとものかなむら)などは、それを苦々しく思っていた。


小泊瀬稚鷦鷯尊(おはつせのわかさざきのみこと)は、物部麁鹿火(もののべのあらかい)の娘・影媛(かげひめ)との婚約を試みるが、影媛(かげひめ)は既に大臣・平群真鳥(へぐりのまとり)の子・平群鮪(へぐりのしび)と通じていた。

海柘榴市(つばいち、現桜井市)の歌垣(うたがき)に於いて鮪(しび)との歌合戦に敗れた太子は怒り、重臣・大伴金村(おおとものかなむら)をして鮪(しび)を乃楽山(ならやま、現奈良市)に誅殺させる。

太子は、武烈一年十一月には大臣・平群真鳥(へぐりのまとり)をも討伐させた。

その後太子は、武烈一年十二月に即位して、武烈大王(ぶれつおおきみ/第二十五代天皇)を名乗る。

武烈大王(ぶれつおおきみ/天皇)は、泊瀬列城(はつせのなみき)に都を定め、大伴金村(おおとものかなむら)を大連(おおむらじ)とした。

武烈大王(ぶれつおおきみ/天皇)には子がなかった為、御子代として小長谷部(おはせべうじ/小泊瀬舎人)を置いたという。

武烈八年十二月八日に、武烈大王(ぶれつおおきみ/天皇)は後嗣なく崩御した。


なお、「日本書紀」は、武烈大王(ぶれつおおきみ/天皇)の異常な行為を記して居るが、武烈大王(ぶれつおおきみ/天皇)による悪逆非道の記述は、「古事記」には一切見られない。

「日本書紀」には「頻りに諸悪を造し、一善も修めたまはず」とあるように、非常に悪劣なる大王(おおきみ/天皇)として描かれている。

その一方で、厳格な裁判を行ったとするなど相矛盾する記事が併存する。

この相違の背景には、血縁関係が薄い次代の継体大王(けいたいおおきみ/第二十六代天皇)の即位を正当化する意図が「日本書紀」側にあり、武烈大王(ぶれつおおきみ/天皇)を暴君に仕立てたとする説が一般的である。

事実「古事記」には、暴君としての記述はなく、太子がいなかったことと天皇の崩後に袁本杼命(おおどのみこと、後の継体大王・天皇)が皇位継承者として招かれた事しか記述されていない。

また、大王(おおきみ)の御名・小泊瀬稚鷦鷯尊(おはつせのわかさざきのみこと)は、仁徳大王(にんとくおおきみ/天皇)の御名(大鷦鷯尊)と雄略大王(ゆうりゃくおおきみ/天皇の御名(大泊瀬幼武尊)の一部を接合したとする説がある。

この辺りに、継体大王(けいたいおおきみ)の皇統を正当化する意図があり、聖帝・仁徳によって開かれた王朝が、雄略の時代を経て悪逆非道の武烈で断絶し、次の継体によって新王朝が開かれるとする王朝交替の歴史観が現れているとの説もある。


「日本書紀」には、物部麁鹿火(もののべのあらかい)の娘の影媛(かげひめ)をめぐって、平群臣鮪(へぐりのおみしび)と歌垣(うたがき)で争った事が記され、それに敗れた太子は重臣・大伴金村に命じて鮪(しび)を討ち取らせたと言う。

ところが、この歌垣の場面は「古事記」に、袁祁王(をけのみこ、後の顕宗天皇)が菟田首(うだのおびと)の娘の大魚(おうお)をめぐって、志毘臣(しびのおみ)=日本書紀の平群鮪(へぐりのしび)に相当と争った事として記されている。

つまり、歌垣事件に出てくる皇子も女も、全く別の設定になっている。

何れが原伝承かの判断は分かれるが、少なくとも「古事記」と「日本書紀」とでは、武烈大王(ぶれつおおきみ/天皇)の伝承にかなりの食い違いが見られ、武烈大王(ぶれつおおきみ/天皇)自身が実在したかどうかについても疑問が残る。

そしてこの頃の大王(おおきみ/天皇)の物語は、時系列からすると古事記・日本書紀の編纂からはかなり以前の事で、編纂までの間に為政者の都合による創作が紛れ込んでも違うとも正しいとも証明が出来ない。

注)初代・神武大王(じんむおおきみ/神話・伝説上の初代天皇)から第二十五代・武烈大王(ぶれつおおきみ/第二十五代天皇)までを「上古天皇」と分類している。

参考・【古事記・日本書紀の皇統神格化疑惑】を参照下さい。


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継体大王(けいたいおおきみ・天皇)と大連(おおむらじ)大伴金村】に飛ぶ。

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by mmcjiyodan | 2017-07-28 08:21  

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