葛城家(かつらぎけ/賀茂家)
一般的にはその本拠地を、「古事記・日本書紀」を手掛かりとして畿内説を採る学者が多い。
しかしながら我輩は、伊豆の国(いずのくに)・田京説を採っている。
古事記・日本書紀」を手掛かりとする現在の正史を素直に考えれば、歴史学者には「田京」の存在は無視されるであろう。
しかし、伊豆の国の地名を「出ず(いず)の国」と読めば、有力臣王(おみおう)葛城氏の最初の国(出身国)とも読めなくは無い。
そして、そこには天城連山がそびえている。
天城連山は伊豆半島の最高峰であるから、伊豆国(伊都国)の天の城、天の葛城(あめのかつらぎ)であれば、葛城氏の光臨の地かも知れないのだ。
葛城氏族(賀茂氏族)は、やがて田方平野に辿り着き、田京を中心に王国「伊都国」を成立発展させて行く。
この伊豆の国(伊都国)が、「後に大和朝廷を掌握した」と我輩が考察した材料の一つが、九百二十七年(延長五年)の延喜式神名帳(えんぎしき じんみょうちょう)に拠る神社の格式、「式内社」の数で、伊豆の地に式内社が「九十二座もある」と言う異様さである。
その内、伊豆諸島を含む賀茂郡地区に半数の四十六座が集中している。
葛城氏は、大王家(おおきみけ/後の天皇家)が家確立後、葛城「臣(おみ)」と成るが、かつては大王家に対抗出来る最大の豪族、あるいはもう一つの「大王(おおきみ)家」、つまり「御門(みかど)」であったと言われている。
古事記や日本書紀(紀・記)の編纂に当たり、過去の事とは言えども葛城氏の真実を明かす事は、すなわち神の威光を持って統治する天皇家が、かつて一豪族から成り上がった事を公(おおやけ)にする危険も意味していた。
そしてまた、王達の連合国家・初期の大和合大国(だいわごうおおくに)において、大王(おおきみ・大国主)の血統が移っている事実も、神の威光を持って統治する精神世界には馴染まない事実で在った。
「古事記・日本書紀」の記述では、五世紀後半頃の葛城氏(賀茂族)は神武朝に心服した大豪族(臣王)で、神武朝に葛城族から代々嫁を出す誓約(うけい)の形式を採って居たようであり、大臣・葛城円(かつらぎつぶら)が雄略大王(おおきみ/天皇第二十一代)に滅ぼされるまで、大和朝廷は「大王家(おおきみけ/天皇家)と葛城家の連合政権であった」とされている。
当然ながら葛城家は、黙っていても大王(おおきみ・大国主)の「外祖父」を排出する事になり、時系列的に言えば、後の大豪族(臣王)蘇我家以前に、大王家(おおきみけ/天皇家)に匹敵する存在が「葛城御門(かつらぎみかど)」で、武力を持たず「神の威光で統治する」大王家(おおきみけ/天皇家)の武力的後援者ではなかったのだろうか?
但しこの話、あくまでも百五十年ほど後に天武天皇(第四十代)から桓武天皇(第五十代)の時代にかけて、皇統の正統性を殊更強調する事を目論んで編纂された「古事記・日本書紀」の記述内容である。
出来れば神武帝以来の皇統の正統性を明示したいのであるから、辻褄合わせの最大限妥協して「代々嫁を出す」としているのではとも考えられる。
それほどの力を持った葛城臣王家・大臣・葛城円(かつらぎつぶら)が、武力を持たない雄略大王(おおきみ/天皇第二十一代)に「攻め滅ぼされ葛城臣王家が消滅した」と言うのである。
これは謎である。
大戦(おおいくさ)なら相応の歴史的事件としての扱いがある筈なのだが、戦乱も続かず目立った分家も残らず、簡単に葛城臣王家を跡形も無く根絶やしにする。
そんな事が、現実的な状況として起こり得るのであろうか?
詳しくは・小論【葛城ミステリーと伊豆の国=伊都国(いとこく)説】へ飛ぶ。
名字関連詳細・小論【名字のルーツと氏姓(うじかばね)の歴史】<=クリックがお薦めです。
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