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誓約(うけい)

大抵の解説で、誓約(うけい)を安易に「占いの結論や神に対する祈りの誓(ちか)いの事だ」としているが、実は本質を知っていてその結論を表記する事を避けている向きが多い。

神話や伝説の類を良く読んで見ると、誓約(うけい)は忠誠を示す為のもので、誓約(うけい)の結果として新たなる神や子供が誕生する事が多い。

つまり、性交を伴う現実的な忠誠の証が、読み解ける誓約(うけい)なのである。


日本列島に渡り来た渡来部族の長は大和政権の認定を受け「氏」を名乗り支配者身分であることを世間で明確にした。

渡来部族の長は占領地の統治の根拠を説得する為に神を名乗り絶対権力を握り根拠にした。

宗教を政治に利用したり権力維持に利用するのは当然の発想である。

先の大戦(大西洋戦争)時戦争遂行の為に「戦死したら靖国神社靖国神社で神として祀られる」とまさに神を利用して国民に刷り込み教育をした事例もある。

この段取りで渡来部族の長は絶対権力を握り神の住まいを設置し被支配者に「氏神様」と呼ばした。

「氏神様」の神事の中に政(マツリゴト・祭事 政治)=誓約(うけい)性事があり、神前性交の常識習慣が残った。


平和の為の「誓約の概念」が発展して「神事=祭り事=子作り」になる。

日本は古来から政治を致す事を「祭り事」と呼び神に仕える者の仕事だった。

渡来部族の長が夫々(それぞれ)に神を名乗った事から日本は多神教の国「神々の国」に成った。

統治の為の神話を創り出し部族の長が神となった事から鎮守神をいただく神主の地位は部族の長が務め、地位的に高位の立場だった。


「祭り事=子作り」は争いを収める目的であり「誓約行事」は神前祭祀は必要な事だった。

神事としての誓約(うけい)を平和的に国家形成の手段として、「性事は政治」・この事が的を得た政治の本質と公共性の共通認識を証明している。

日本の神社には神に仕える巫女が存在し、うら若い巫女は「神前性交=子作り」の実践要員だった。

巫女はその神前祭祀の為の部族間で性交を伴う現実的な忠誠の証を性交実践する為に神に仕える要員として採用された。



アフリカ・コンゴに生息するサル目(霊長目)ヒト科チンパンジー属に分類される類人猿・ボノボ、遺伝子が人類に九十九%も一致するほど最も人類に近い事が判っている。

類人猿・ボノボは言葉を理解し、生殖以外の目的の性行動を行うなど、チンパンジーよりもずっと人間に近いとも言われている。

その類人猿・ボノボは、雄(オス)どうしが個体間の争いをすると、仲裁に入った雌(メス)との交尾(性交)でその場の興奮を一瞬で鎮め解決する。

この点が、類人猿・ボノボが「人類に最も近い」と言う事の証明で、つまり多くの生物に存在する「繁殖期」が無く、何時(いつ)でも性交が可能な事である。

勿論、ボノボ社会が「群れ婚」だと言う事で、争い即・「手近(てじか)な雌(メス)」との交尾(性交)が成立している。

類人猿・ボノボが、争いの解決手段に交尾(性交)や疑似交尾(疑似性交)の快感を有効活用するなど、或る意味見事に合理的な方法を採っている。

或いは、日本神話に於ける「誓約(うけい)」の原点は、そうした発想に近いのかも知れない。


初期の神話には、日本列島で遭遇した多くの部族が「誓約」に依り、次の世代が混血して「異部族融和を図る過程が暗示されている」と解釈される。

記紀神話(古事記日本書紀)に於いては、最初に誓約(うけい)を実践したのは猿田彦神天宇受売命である。

列島の民(日本人)は、「先住民(縄文人蝦夷族)と渡来系部族の混血だ」と言われていて、天宇受売(アメノウズメ)の夫神・猿田毘古神(サルタヒコ)は先住民(縄文人)、后神・天宇受売命(アメノウズメノミコト)は渡来系弥生人だった。

神話においては、猿田彦が天孫降臨を感知して雲に上って上天し、「途中まで出迎えた(渡来を歓迎?)」とされ、その時天孫(渡来人・進入部族)は猿田彦に対し天宇受売命を「使者として交渉させた(誓約・性交による群れの一体化の儀)」と言う。

つまりこの夫婦(めおと)二神の役割もまた、「新旧民族の融和(誓約)の象徴」と言う訳である。

天狗(猿田彦)とオカメ(天宇受売)の二神が、夫婦(めおと)に成り、後世に伝承される各地の祭りの神楽舞の面(おもて)として残った。

天狗(てんぐ)は「天の犬(狗・こう)」の意味で、描かれている衣装は、天狗、からす天狗の別を問わず、修験山伏の衣装姿で、修験と犬神が一体である事を物語っている。

当時、誓約(うけい)の古事は民族和合の誇るべき神事だった。

だから誓約(うけい)の精神に従って、「戦いを止めてベット・インをしよう」の誇るべき古事の為、神楽舞の面(おもて)、古くは天狗の鼻が男性器を表し、オカメの口は女性器を表していて、神楽舞台上で合体の為にサイズが合わされているのが本式である。

祭事として「神懸かって舞う」下りは、新旧民族の融和(誓約)の象徴を精神的に祝う神への奉納の舞である。

奈良県明日香村・飛鳥坐神社には天狗とおかめの情事(ベッドシーン)を演じる「おんだ祭り」があるが、これも明治維新の文明開化前は、「日本全国で祭礼をしていた」と言われる。

この誓約(うけい)の精神は、時代が下って行くと、争う敵将を味方につける為の「政略結婚」に変化して行くのである。

大和朝廷成立前後の古(いにしえ)の日本列島は、民族(部族)の坩堝(るつぼ)だった。

古い時代に住み着いた在来部族と、後期に渡来した進入(流入)部族の生きる為の争い。

その手打ち式が天の岩戸の宴席、岩戸神楽だった。

日向の地で決戦に破れ、高千穂の天岩戸で手打ちを行い、誓約(うけい)を持って、心身ともに和合する事で「両者統一に向かった」とするなら、ドラマチックではないか。

異民族の王同士の結婚、これは民族の和解を意味し、双方が滅びないで済む。

究極の和解であり、民族同化の象徴である。

この誓約(うけい)の概念が、実はその後の二千年の永きに渡り、日本の民の形成に大きな影響を与えて行くのだが、それはこの物語で追々記述する事になる。

性行為は自分が楽しむものであり相手を楽しませるもので、人間誰しも、楽しみを与えてくれる相手には優しく成れ、信じられる。

つまり和解の性交は争いから信頼に変える手段で、それがこの国に古くから伝わる誓約(うけい)の根本精神である。

東アジアの遊牧民は、長旅をする遠来の客を「大事にもてなす習慣」が在った。

驚いた事に、客人に愛妻や娘を「一晩差し出す習慣まで合った」と言う。

「そんな馬鹿な」とは言って欲しくない。

広大な台地を行き来して生活する彼らにとって、出会いに対する選択は二つしかない。つまり、争うか歓迎するかのどちらかなのである。

それは、いつどんな相手に遭遇しないとも限らない条件下に在って、互いに平和を維持する為の究極の知恵である。

この「遠来の客を大事にもてなす習慣」の和合精神、時代の経過と伴に大分変則的に変化しているが、遊牧民の末裔トルコ民族のベリーダンス(回教国なのに、女性ダンサーの露出度が高い)や、中国(漢民族を含む)人の来客もてなし時の「面子(めんつ/恥をかかない接待)」にも、その影響として残っている。

チンギスハーンと孫のフビライ・・・・、大モンゴル帝国(元帝国)の発展は、優秀なら人種や出身国を問わずに登用した事により、「広域な大帝国を築き上げた」と言う。

この「優秀なら人種や出身国を問わずに」の精神には、東アジアの遊牧民の精神「遠来の客を大事にもてなす習慣」が生きていたからに思えて成らない。

大モンゴルは、自分の出身民族に拘っていたら、成されなかったで在ろう偉業なのだ。

この事は、古代日本列島に発生した「誓約(うけい)」と言う民族融合の知恵と、ある種共通する所がある。

そして誓約(うけい)の精神こそ民族和合と言う最大の政(祭り)事であり、シャーマニズムに満ちた神楽舞の真髄なのではないだろうか。


実はこれらの神話は、多くの多部族・多民族が日が昇る東の外れの大地・日本列島で出遭った事に始まる物語である。

その多部族・多民族が夫々(それぞれ)に部族国家(倭の国々)を造り鼎立していた日本列島を混血に拠って統一し、日本民族が誕生するまでの過程を暗示させているのである。

古事記日本書紀に於けるエロチックな神話から人身御供伝説まで、桓武帝修験道師を使ってまで仕掛け、「性におおらかな庶民意識」を創り上げた背景の理由は簡単な事で、異部族を混血化して単一民族に仕立てる事であり、為政者にとって見れば搾取する相手は多いほど良いのである。

この誓約(うけい)の概念が後に武家のお召し上げ・お下げ渡し の風習や武門の絆・稚児小姓 の風習に発展し、「武家の習俗」として現実的な忠誠の証が続いて居るので参考までに参照下さい。

誓約(うけい)の概念が後に信頼おける家臣育成の目的から戦国武家の武門の絆・稚児小姓 の風習になり発展した。

稚児小姓の武門の絆の具体例は、織田信長の前田利家徳川家康、などに見られ豊臣秀吉の石田三成は最後まで豊臣家を守ろうとした。


詳しくは、小論【誓約(うけい)】をご参照ください。
詳しくは、小論【美しくなれる興奮の解説】をご参照ください。
詳しくは【夜這いは、愛すべき日本人の知恵だった私の愛した日本の性文化】へ飛ぶ。

類人猿・ボノボ こそ、争いを回避する知恵の原点】

性文化史関係一覧リスト】をご利用下さい。

◆世界に誇るべき、二千年に及ぶ日本の農・魚民の性文化(共生村社会/きょうせいむらしゃかい)の「共生主義」は、地球を救う平和の知恵である。

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by mmcjiyodan | 2008-04-29 23:23  

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