公娼制度と従軍慰安婦
この名称「従軍慰安婦」は、戦時中に娼婦として軍に同行していた女性が補償を求めて訴えを起こした事から、戦後に後追いで名付けられたものである。
歴史的背景を考えない歴史認識とは何だろうか?
戦前から太平洋戦争当時まで、【娼婦(館)・女郎(屋)】と言う物が存在した。
古来多神教自然主義の日本列島の民(大和族)は性におおらかで、性行為は神との共同作業であり新しい命の恵みを授かる「お祭り」と言う神事の文化を持つ国だった。
そうした庶民性文化の歴史的流れがあり、この頃の日本では「公娼」が認められていて、事の善悪は別にして「合法の存在」だった。
所謂、公に許可された売春宿である。
戦前の「公娼制度」は、良くも悪くも社会的安全弁に成って居て、性犯罪の防止効果は勿論、経済困窮に対する一つの救済制度の側面も持っていた。
日本政府は、建前とは別に本音の「必要悪」と考えて「公娼制度」を温存する現実的な方策を採っていたのだ。
当時の「日本の現状は」と言えば、予算の多くが軍事費に回される軍事大国を標榜し、為に【軍部と結託した財閥】に富が集中して、地方経済は貧困にあえいでいた。
蛇足ながら、これは最近の国際競争力のお題目に拠り【政府・官僚と結託した大企業】の富の集中化に酷似していて将来的に恐い話しで有る。
いずれにしても当時の庶民は貧しく、特に農家に現金収入を得る道が無かった。
それで当座の金に困ると「生きる為に、身内を喰わす為に、」田畑を質(しち)に借金をしたり、女衒(ぜげん)を介して娘の身を売らざるを得ない境遇の農家が数多く居た。
今でこそ「公娼」と言うと単純に「下劣な職業」と思われ勝だが、果たしてそんなに単純な受け取り方で良いのだろうか?
当時の社会情勢で、米作以外に収入が無かった地方の農村にとって、不作や米価下落に見舞われれば生きては行けない。
そこで娘が「公娼」に身を落として親兄弟を救った。
これは受け取り様の問題だが、「公娼に身を落として親兄弟を救う」と言う行為は「下劣」ではなく「高尚(こうしょう)」である。
つまり業として行う娼婦行為と「親族を救おう」と言う心情精神とでは、心情精神の方が遥かに重いのである。
それを、「下劣な職業」と見下してかたずけてしまう所に、現在の極端な個人主義社会の病根を見る思いがする。
「時代が違う」と言われる事を承知で言うが、現在の私権主義に害され「自分が大事で親兄弟は二の次」と言う精神よりも、例え身を汚す職業でも親兄弟の為に「公娼」に身を落とす娘の方が「心が高尚(こうしょう)だ」と思うが如何か?
この身を落とす娘の受け入れ先が、【娼婦(館)・女郎(屋)】だったのである。
列強国と言われた日本の内地でも当時の社会環境がその状態だったから、半島や大陸の人々の現実はモット経済的に困窮して居た筈である。
それで仕方なくとは言え、娼婦や女郎の成り手は多かった。
つまり、半島の女性は【応募した】と言う説がまともであるが、「親に売られた」と言う現実を認めたくない心情は理解できる。
また、帰国後に取り巻く社会環境においても、「強制された犠牲者」で居続けなければ身の置き場が無いのも理解できる。
これらの娼婦館・女郎屋の類は「民営」で有って公営ではない。
その業者が、戦線の拡大と伴に商売として外地へ進出して行った。
勿論【従軍慰安婦】なる言葉は無かったし、軍が直接管理運営していた訳ではない。
しかしながら、軍が業者に要請していたのは事実で有る。
そう言う意味で、【実質従軍】と取られても仕方が無いが、これが【強制連行による】とされるのは少々疑問で有る。
実際には【日本人娼婦が大半】で有り、将兵の好みから軍の要請も出来るだけ日本女性を同行するように慰安婦業者に要請していた現実がある。
軍が要請していた事は、大きく分けて二つの意味(見方)を持つ。
ひとつは【国家絡み】と言う事で、国がその全ての責任を負うべき事である。
その対極にある見方が、今ひとつの、【戦地と言う特殊環境の中で】、見落とされ勝ちだがこの娼館・女郎屋を占領地に帯同したのは、「日本軍の良心」とも取れるべき事である。
世界で唯一本音の性に関する治安対策を考えたのが日本軍であり、他国軍は性に関する治安対策をしていなかっのだ。
残念ながら、人間の性は一筋縄ではいかない。
何しろ武器を持った若い野獣が、うろつくのが戦争である。
建前では無い現実としても、明日をも知れぬ命の前線の軍人が性的行動を戦地で起こさない方が不思議で、表面化しないが兵による個人の性犯罪は何処の軍隊にも存在する。
そうした意味では、占領現地の女性を守る為に軍が要請した【娼婦(館)・女郎(屋)の画期的制度】の事が問題で、野放しの【他国軍の個人の犯罪】は問題視されないとしたら大いに矛盾ではないだろうか?
この性に関する対策問題、【忘れ勝ち】だが、実は戦後の早い時期にも政府の対策として施行した実績がある。
敗戦後の米進駐軍占領時代に、臨時日本政府は性的治安に危惧を抱き【性の防波堤】として、「やまとなでしこ」を募集した。
どちらにしても、こうした起こり得る「性の本音」に、現実的な政府が対処をしている所を見ると、建前は民衆に押し付けていても本音が別にある事は充分に承知していて、それを使い分けるのが「二枚舌の国家権力」と言う事に成る。
募集され女性たちが、無理解な一般の人たちから【パンパン、オンリー】等と卑下されながらも、【尊い犠牲】の上での占領米軍人の暴走対策とした生々しい事実は、遠い記憶になりつつある。
【「河野談話」と曖昧文化】に続く。
従軍慰安婦問題の詳しくは、小論【公娼制度と従軍慰安婦】に飛ぶ。
遊女関連の詳しくは、小論【遊女(女郎)の歴史】に飛ぶ。
◆【性文化史関係一覧リスト】をご利用下さい。
◆世界に誇るべき、二千年に及ぶ日本の農・魚民の性文化(共生村社会/きょうせいむらしゃかい)の「共生主義」は、地球を救う平和の知恵である。
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