集団婚(群れ婚)
群れに帰属する事が生きて行く手段であるから、その帰属意識(きぞくいしき)は本能として刷り込まれ集団で生活する事で脳が安心感まで得るように成った。
元々性交は「自然行為(繁殖行為)」であるから、性交のルールやカップリングの条件は後から付いて来た。
その点では他の動物と余り変わりは無い。
例として挙げ易いので「おしどり」と言う鳥を揚げてみると、「つがい」の仲が非常に良いので、仲の良い夫婦を「おしどり夫婦」と形容するが、実際は大半の「つがい」は一繁殖シーズンだけの仲で、次のシーズンは別のペア(つがい)になるそうだ。
そもそも、日本民族の基本的精神は「農耕の文化」から成り立ち、自然に優しく自然と共生する知恵も持っていた。
在るものを見つけ出す事が「自然との共生」であるから、性欲を頭から否定する風潮や信仰はこの国には無かった。
全村身内気分の精神の根底に在るのが、長く続いた日本民族の「性におおらかな感性」である。
古代日本列島では縄文人が住んでいて、男女の関わりが現在のような一夫一婦制ではなく「集団婚(群れ婚)」だった。
また日本民族は、全村(共通生活地域)身内気分の精神で、隣人と力を合わせて生活する「村落共生社会(村社会)」と言う形式の「群れ社会」だった。
或いは、被征服先住の日本列島の民、蝦夷族(エミシ族・縄文人)に、この習慣があったのかも知れない。
つまり歴史的経緯からすると村落社会における夜這いは、言わば「集団婚の一形態である」と考えられるのである。
「集団婚(群れ婚)」という婚姻形態は、一言で言えば「複数の男と女がグループ」で婚姻関係を結ぶもので、日本を含めて採取狩猟時代から人類の間で歴史的に長く行われていた。
共生の為の「群れ社会」と言う特別の信用信頼関係を構築するには、特別の間柄が継続して実践証明し続けなくてはイケナイのだが、そうなると一夫一婦制の既成概念は取り払わなくてはいけない。
言ってしまえば、群れ内は「フリーセックス」と言う事に成る。
そして個別の二つの群れ同士の争いに解決方法は二つ、武器を持って争うか仲間として合流するかである。
個別の二つの群れが平和的に合流するとなれば、誓約(うけい)の概念に拠る「集団婚(群れ婚)」が、双方を「特別の間柄」と継続して実践証明する「群れ内フリーセックス」が現実的だった。
「群れ社会」での誓約(うけい)の性交は人間の警戒心を解き、安心して人間を繋ぐ触媒の役目を果たすのである。
それで「夜這(よば)い制度」や「寝屋子宿(ねやこやど)・寝宿(ねやど)制度」など、独特な村落集団婚(擬似群れ婚)で全村(共通生活地域)身内気分の精神に拠る共生社会を実現して、老人も子供も全村の責任で面倒を見るシステムを作り上げていた。
最近、不妊夫婦の家庭が増える傾向にある。
これも日本社会が欧米化されて増加した「少子化」の一因なのだが、現代社会では人類が未来に命を繋げる為の男性精子が世界的に虚弱化していて、専門家の間では問題視されている。
つまり「群れ婚」や「真言密教立川流」を、安易に現在の性規範だけで判断する事は出来ないほろ苦い現実も存在している。
実はこの男性精子「虚弱精子劣性遺伝」に拠る不妊家庭の増加は、専門家の間では「一夫一婦制が招いた」とする意見が主流である。
この場合の「一夫一婦制」は家族単位の堅持の為だが、ルール(決め事)が正しいのは或る一面を解決する為の物で万能ではない。
そもそも、現代社会のルール(決め事)は人間が都合で勝手に決めた物で、ルール(決め事)には必ず良い事(都合)がある分だけどこかに悪い事(不都合)も在って、だからこそバランスが成り立つ。
そして人間の良い事(都合)とは、往々にして自然を無視するものである。
何の事は無い、神(聖職者の見解)やお上(統治者の都合)が定めた戒律が「虚弱精子劣性遺伝」を引き起こし、人類の繁殖能力を削いで滅亡へのカウントダウンをさせている事になる。
いずれにしても、自然科学の分野では「一夫一婦制が人類滅亡の危機を招くかも知れない」と、警告されているのである。
この時代に在って、先祖の「真似をしろ」は出来ない相談だが、欧米型の「極端な私権主義」とはまったく対極の考え方で、自然に優しく、自然と共生しつつ地域社会を安全・安定して営めるシステムを作り上げ、実践していた知恵に学ぶものは無いだろうか?
男女平等を誤解して男女の生物的特性まで否定する事は、他の動物同様に持ち合わせている人間の「生態系を壊す」と言う事に成る。
つまり現在の人間(我々日本人を含む)は、生き物としての自らを否定するほど傲慢な存在なのである。
詳しくは・小論【日本の性文化】に飛ぶ。
詳しくは、小論【誓約(うけい)】をご参照ください。
詳しくは・小論【ホモサピエンス(知性人)の「種の保存と遺伝子」】を参照下さい。
◆【性文化史関係一覧リスト】をご利用下さい。
◆世界に誇るべき、二千年に及ぶ日本の農・魚民の性文化(共生村社会/きょうせいむらしゃかい)の「共生主義」は、地球を救う平和の知恵である。
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